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日々の徒然や妄想など
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無双、幸政です。

無敵幸村に折れる政宗様。
たまにはこんな感じもイイんじゃない?的な。

…と思ったんですが、当家の幸村は、基本押しが強くて政宗様が折れてる…。
ことに気がつきましたので、逆にしてみようと思います。

無敵政宗様に折れる幸村。

ん!どっちも当サイトの基本理念っぽい!
(基本理念て…)

結局どっち?って言うのは、
「つづき」からご確認くださいませ。
見るか見ないか、割とギャンブル性が高い選択肢ですよ、お嬢様方。

だいたい毎回、"大丈夫な方向け"、"心の広い方向け"の多い当サイト。
ギャンブル好きなお嬢様方が多いと、雲、信じてる。(乙女っぽく)


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

毒を食らわば皿まで


助けられた。

結果から言えばそれだけ。
その結論に至るまでには、様々な過程があり、大小不本意な出来事が重なったのだが、
結果的に助けられたのだから、礼をしなければ、と。
一応礼節を弁えた大名として、「礼がしたい」のだと申し出ると、
相手はどこか含みを持たせてくる。



事の始まりは、軍議の後、自陣に戻ろうと馬を繋いだ場所まで戻る途中だった。
飛び出た木の根に、うっかり足をひっかけ、挫いてしまった。
明日から戦だというのに、何たる失態と悔いても遅い。
歩けない程の痛みに難儀していたところを助けられたのだ。

足を挫いた政宗は、ひとまず近くの木の根元に座らされた。
痛む足からゆっくりと具足が取り払われ、腫れた足首を見て軽く眉を顰めた幸村は、

「少し、お待ちください。」

と声を掛け、どこかへ言ってしまった。
普段の政宗ならば、「待て」と言われて大人しく待っているような性格ではないが、
如何せん歩けぬ上に、足首は時が経つに毎に腫れて痛みが酷くなる。
骨でも折ってしまったかと思うほどだったが、
幸村の見立てでは、骨に異常はないらしい。

暫く痛みに耐えていると、幸村が手に手ぬぐいを持って戻ってきた。
どこか近くの川か沢で濡らしてきたのか、濡れていた。
気遣うように、手ぬぐいを政宗の足首にあてがう。
触れられる痛みと、冷たさに驚いて体が強張ってしまった。

「痛みますか?」
「…平気じゃ…」

労わるように幸村が声を掛けてくる。
痛いし、自分の不注意から招いた結果に苛立ってしまい、
ついつい、冷たい返し方になってしまうが、
それもいつもの政宗の事、と幸村は軽く流しているようだった。

「明日の出陣は控えた方が良さそうですね。」
「…軍議で決まった布陣につかぬ訳にはいかぬ。」

苛立ちの後には無性に情けなくなり、痛みと相俟って鼻の奥がツンと痛む。

「ひとまず、戻りましょう。」

幸村は、政宗の性格を知ってか知らずか、強がりな発言を気にするでもなく立ち上がると、
そのまま政宗をそっと横抱きにする。

「…はっ…?」

あまりの出来事に、政宗の頭がついていかない。
いくら体格差があるとは言え、同年代の幸村に横抱きにされて移動するなど、
考えも及ばなかった。
しかも、いとも軽々と持ち上げられ、愚の音も出ない。

「幸村…お前…っ…!!」
「あ、痛みますか?すみません。そっと抱き上げたつもりだったのですが…」
「そうでは無いわっ!馬鹿め!!」

突然の癇癪に幸村は戸惑っているようだが、政宗を運ぶその腕や足取りに影響はないようだ。
しかし政宗としては、それもどうかと思う。
大名として実力も知名度も上がっている。
体格は決して良い方とは言えないが、それでも昔に比べ随分と成長した。
何より、鎧一式着込んでいるのに、軽々と抱き上げられてしまう自分をどうかと思うのだ。
政宗にとって幸村は、常に対等でありたいと思う相手なだけに、衝撃は大きい。

(幸村が怪力なのじゃ、化け物なのじゃ)

と考える他に、仕方ない。

「どうかれさましたか?」
「どうもこうもないわ、馬鹿め…っ」

自尊心が傷つけられた精神的な痛みも加わり、ますます涙声になってしまう。

「あ、すみません。政宗殿の具足を木の根元に置いたままでしたね」
「馬鹿め!忘れるでないわっ!!」

苦笑する幸村を叱り飛ばす事で、何とか涙を堪える。
結局、暴れようが怒鳴ろうが、びくともしない幸村の腕に溜息を吐き、
政宗はなるべく痛みが和らぐ位置を捜す。
いかな幸村と言えど、流石に歩く振動を全く消すことはできないようで、
ゆっくりとした歩の心地よい揺れに混じって、足首が時折痛んだ。

顔にはありありと『不本意』と書かれているのだろう。
幸村が困ったように笑う。
政宗だとて、笑い飛ばしてやりたいところだが、一体何を笑い飛ばせば良いのか分からない。
強いて言うなら自身の失態だが、笑えない冗談だ。
結局、大人しく抱かれたまま、なんとなく無言で自陣ではなく、幸村の陣に到着した。

すぐに医師に見てもらい、手当てを受けた。
伊達軍の陣まで少し距離があり、徒歩での移動は難しい。
かといって、馬の振動は痛めた足にひびくだろうから、
幸村の判断と行動は正しいものだ。
…が、政宗にとっては全く持って不本意だ。
医師の見立てでは、三日の安静という事で、そのまま幸村の陣で世話になることになってしまった。

幸村は、てきぱきと伊達軍と石田軍に早馬を出し、
政宗が負傷した事、安静を要するため真田軍で預かる事、明日の戦には参戦できぬ事を連絡していた。
医師も念のための解熱薬を残して退室してしまうと、部屋には幸村と二人きりになってしまう。
政宗としては、幸村にも早く退室してもらいたかった。
明日の戦の準備もあるだろうし、こうして二人きりになってしまうのは、気まずい。
けれど、幸村は出て行く素振りを見せず、逆に政宗に寄り添う。

「ご機嫌が良くないようですが。」
「…あたりまえじゃ…」

さらりと、問うてくる幸村に思わず舌打が漏れるが、仕方ない。
これでも自分は良く我慢した方だ、と政宗は開き直った。

「いくら自らが招いた不注意とは言え…
戦には出られぬ、男に横抱きにされる、散々じゃ!」

苛立つままに、篭手を外す。
本当はそのまま篭手をどこかに叩きつけて憂さを晴らしたいが、
ここは幸村の城。流石の政宗も場をわきまえている。

「…男とは言っても…わたしですから。」
「なんじゃその"わたしですから"というくだりは。」
「兼続殿や三成殿に横抱きにされるよりは、良いでしょう?」

どこか含みを持たせた幸村の言葉を、政宗は一笑に付す。

「はっ!変わらぬわ!」

逆の手の篭手を抜こうとした時、その手を幸村に取られた。

「わたしが。」

一言言うと、幸村は是も非もなく政宗の手から篭手を引き抜く。
一瞬反応が遅れていると、次は兜の緒に手を掛けられた。
これは嫌な予感がする、と頭に何かが閃いて、政宗はさり気なく幸村の手を払うが、
組み紐は簡単に解かれる。

「……礼がまだであったな。幸村、一応感謝する。」
「いえ。」
「世話をかけた侘びに、何か礼をしたいのじゃが…」

兜を取られ、鎧の組み紐に幸村の手が伸びた。

「まぁ…そうですね…礼…ですか……」

答えながら、幸村の手が止まることはない。
政宗がいくら払っても伸びてくる手は、器用に、淀みなく鎧を剥いで行く。

「幸村、鎧は別に良い…」
「政宗殿、暫く安静にしなければなりませんし、鎧は重たいですから。
楽にしていただいた方が良いように思います。」
「………そうか……」

嫌な予感はするものの、幸村の言っていることは概ね正しい。
政宗は敢えて深く考えず、言葉を区切った。
急に大人しくなり、どこかそわそわとし始めた政宗に気付き、幸村は笑みを深くする。

「政宗殿は、こういった状況で良く切り出せましたね。」
「………何がじゃ?」
「もう、のらりくらりとかわせませんよ?」
「話が見えぬ。」
「白を切るつもりですか?」

胴を外すと、足を伸ばして座る政宗を挟み込むように、幸村は手をつき、覗き込む。

「わたしが欲しがる礼を、政宗殿は知っていらっしゃる。」
「…わしが?知らぬと思うが。」
「政宗殿が思っている程、わたしは人が良い訳ではないんです。
この好機を見逃すと思いますか?」

僅かに覗く政宗の首を、幸村の指が撫でた。
小さく、政宗の肩が揺れる。

「…怪我人に無体を強いる程、無慈悲な男ではないと思っておったのじゃが…」
「時と場合によります。のらくらとかわされ続ければ、こうなってもおかしくはない。」

幸村の言うとおり、政宗と幸村が、世間で言うところの恋仲になってから、
割と長く時間が過ぎたように思う。
明日をも知れぬ戦いの中で、即物的に成らず、既に半年は経過していた。
こういった話や行為に流れそうなときは、政宗がそれとなく話を逸らしてきたからだ。
しかし、今回ばかりは幸村も引く気が無いようだった。

「そもそも、あの場にわたしが居合わせたのも、
あなたが陣に戻られる前に、こうして触れたかったからでもあるんです。」

吐息が触れるほど近くに幸村が寄り、政宗は反射的に引きそうになるが、
何とか堪えて平静を装う。

「そのわたしが、あなたから貰いたいものは、一つです。」
「…脅しか、それとも強要か?」
「まさか。政宗殿が納得の上でなければ、意味がありません。」

他の武将達はどうか知らないが、幸村と政宗は口吸いすらしていない。
恋仲であるのに、珍しい類ではあると政宗自身、自覚はしていた。
のめり込んでしまうのが怖かったせいもあるし、何より、政宗の矜持がそれを赦さなかったのだが。
触れられそうな位置にいながら、それ以上は距離を詰めてこない幸村に、
政宗の緊張も鼓動の高鳴りも、極限まで高まっていた。
幸村からの無言の催促に、何も考えられなくなる。

近すぎて焦点の合わない視界に、それでも幸村のいつもとは違う表情が映る。
政宗の出方を窺うような、どこか反応を楽しむ色もにじみ出ている、その表情。

「…えぇいっ…忌々しいっ……」

苦りきった政宗の呟きさえ、幸村は楽しんでいるのだろうか。

「今日は不本意なことばかりじゃ!」

言いながら、残りの距離を詰めるべく、幸村に近づくと、今度は幸村が引いていく。
幸村の行動に、訳が分からず、「一体何がしたいんだ」と
苛立ちを滲ませながら幸村を見上げると、困ったような笑顔があった。

「不本意ですか?本意でないなら、やめましょう。」
「…幸村、お前…こんなに憎たらしい奴だったか?」
「何故でしょうか。政宗殿を見ていると、いじめたくなってしまいます。」

「散々焦らされたせいでしょうか」と笑って告げる幸村に、政宗は苦々しく舌打ちをする。

「もう良い。」

一体この男の何が良くて、好意を受け入れてしまったのか、
政宗にはさっぱり分からない。
自分の事なのに、と考え、さらに今日の出来事を振り返り、再びやり場の無い怒りが込み上げてくる。
子供っぽい事は重々承知であったが、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
だが、逸らされた政宗の顎を捕らえ、幸村はそのまま唇を奪う。
一瞬、何事かと政宗の体が強張るが、すぐに力が抜けていった。
反射的に、引き剥がそうと掴んだ幸村の腕も、今は縋るように掴まるだけで、力がはいらない。

「…このまま、続けても?」
「…………毒を食らわば皿まで、と言う。残さず食え。」

否など無いという自信を匂わせながら、幸村が問うてくる。
乱れた呼吸の合間、とろりと潤んだ瞳で政宗は答えた。

「政宗殿、ことわざの使い方が、少し違う気がします。」
「分かっておる。じゃが、今は何も考えられぬ…」
「…随分可愛いことを仰いますね…」

くたり、と力の抜けた政宗の体をそのままゆっくりと畳みに押し倒した幸村の、
翌日の戦振りは凄まじいものだったらしい。




※一応、政宗様の足首には細心の注意を払って事に及んだようです。

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