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渦 政宗
幸村の、ひどく熱い手が、冷えた体を撫でていく。
乱暴ではあるものの、ぎりぎりの線で優しさを残した触れ方で。
政宗は心のどこかで幸村らしい、と思いながら、形ばかりの抵抗を繰り返す。
体格も力も勝る幸村に、強引に事に及ばれれば、
いくら抵抗しても無駄だと分かりきっていながら、抵抗するのは、
大人しく幸村を受け入れてしまえば、もう取り繕えなくなると知っているからだ。
昨晩の事を説明しようにも、幸村は聞く耳を持たない。
何故かは分からないが完全に逆上しているように見えた。
言葉遣いは丁寧でも、扱い方がまるで違う。
政宗の良く知る、優しい大きな手の平は、ただただ政宗を暴くことだけに専念していた。
何事にも執着しないと思っていた幸村が、昨晩の事で逆上している。
氏康の痕を塗り替えるのだと乱暴に抱く。
その事実が妙に嬉しい。
その事実が痛い。
嫌だ、怖いと、柄にもなく泣きながら、弱々しく幸村を押し返す。
すると益々躍起になって、政宗の腕を押さえつけ、体をまさぐる手を秘所へと伸ばす。
乱暴にされればされるだけ、愛されているのだと実感する。
乱暴にされればされるだけ、信じてはくれないのかと、恨めしく思う。
息を詰めて、悦を飲み込み、笑みを隠す。
息を詰めて、悦を飲み込み、生理的な涙に感情を隠す。
確かに、操立てだのなんだの言うな、と告げた。
けれど言い分も何も聞かずに、乱暴に事に及ぶとは。
浅くない付き合いなのだから、もう少し、"政宗"という人物について、
分かってくれていても良いだろう、と、幸村の事を知ろうともしない事を棚に上げる。
愛など要らなかったのに。
勝手に心中奥深くまで入り込み、居座り、柔和な顔で感情を引っかきまわす。
少しでも幸村を信じてみようと考えた己が愚かだったのか。
冷たかった寝具に、政宗と幸村の熱が移る。
幸村の熱と、寝具に移った熱に挟まれ、呼吸が乱れる。意識が朦朧とする。
熱い手の平と、激しい抽挿に眩暈がした。
「…っ……馬鹿めっ……」
くらくらと中てられてしまいそうな熱の中、
愛しさが募り、政宗は呟いた。
切なさが募り、政宗は呟いた。
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