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魂の嫉妬
おかしい。
ソウルはそう思うのだ。
思えば、ババ・ヤガー侵攻時も、キッドとマカは異様に仲が良かった。
魂感知能力が高い二人で通じあっていたり、
手と手を取って仲睦まじく、向かい合っていたり。
そして、キッドが拘束されてしまってからというもの、
マカはそれまで『キッド君』と呼んでいたのに、
『キッド』と呼び捨てるようになった。
どう考えても可笑しい。
自分の預かり知らぬところで、(とは言ってもババ・ヤガーのどこかで、だろうが)
キッドとマカは仲が良くなったのでは無いか。
否、もしかしたら、仲が良いどころか、付き合い始めたのでは、とまで思える。
そうでなければ、「天使のようだと言われて羨ましい」とか、
あのマカがソウルに言ってくるはずが無いのだ。
きっと、キッドに「マカは天使みたいだな」とか何とか
あの純真無垢な、キラキラした笑顔付きで言われたに違いない。
それに、もし二人が付き合っていないなら、
「マカに手を出してみろ!ただではすまさん」的な事を、
キッドが声を荒げて言うはずがない。
今、目の前できゃっきゃと喜びながら、16巻を広げている
キッドとマカをじっと見つめ、ソウルはそう、結論付けた。
「おい、二人とも…。俺に何か隠してねーか?」
「?なによソウル、いきなり何言い出すの?」
「そうだぞソウル。お前に隠し事など、する訳なかろう?」
二人同時に小首を傾げる様は、ソウルの目からは、どう見ても
『アタシ達、付き合って間もないカップルです』
といったオーラを出している。
ソウルは、腕を上下に振りながら、「いや、絶対に隠してる!」と
駄々っ子のように騒ぎ出した。
「ソウル…どうした?いつも『クールじゃねぇ』とか言ってるお前とは、
全くの別人みたいじゃないか。」
慌てたように、キッドがソウルに近づいてくる。
「だって、お前ら、異様に仲良いじゃねーか!
キッドなんか、拘束されながらも、「マカに手をだすんじゃねー」的な事言ってるし、
戻ってきたキレ男に『マカにやられたのか♪』とかやけにご機嫌だしよ!
今までのキッドなら、『マカ達にやられたのか』とか、俺の雰囲気を匂わせるだろっ?!」
一気に撒くしたてたソウルに、キッドが疑問符を浮かべた。
そして、マカはニヤリと口角を上げる。
キッドに寄り添い、つ、とキッドと手を繋ぐ。
「ソウル、キッドはいつまでもあんたのモンじゃない、ってこと。
アタシにだってキッドは守れるし、キッドもソウルより、アタシの方が好きかも知れないよ?」
「―――――――っ!!!!!!」
声無き悲鳴が上がり、ソウルがムンクの『叫び』状態となって、その場に屑折れた。
その様子を見て、キッドがマカを振り返る。
「…俺にはさっぱり訳の分からない話なんだが…?」
「キッドは、今はまだ、何も知らなくて良いのよ♪」
「そうなのか?」
こてん、と小首を傾げ、手を繋いだままにキッドはマカの瞳をじっと見つめた。
マカは鼓動が早くなること、頬が紅潮することを感じながら、
空いている方の手で、キッドの頭を撫でた。
「そ…そうだよ!まず、キッドに知ってもらうためには、
争奪戦の勝者にならなきゃいけないんだからっ!」
「争奪戦?」
またも疑問符を浮かべながら、キッドはマカのされるがままになっていた。
足元には『叫び』状態から未だ脱することの出来ないソウル。
マカの、対キッド争奪戦用魂感知能力では、
死神のほか、ノアや爆音神父といった面々も、感じ取っていた。
「これから始まる、鬼神との戦いよりもね、
こっちの戦いの方が厳しいかも知れないんだよね…」
「こっちの戦い?」
訳が分からず、お手上げ、といった風情のキッドを見つめ、
マカはふんわりと微笑んだ。
(※当サイトは、ソウキドを推奨しておりますが、
キッドが愛されているなら、左は誰でも大丈夫なのですwww)
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