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渦の続きです。

黒幸村の暴走。
本館できちんと書くまでは、いろいろと仔細は伏せておこうかと。
雰囲気をお楽しみいただければと思います。
(どないやねん。。。)

心の広い幸政の方は、「つづき」よりどうぞ。


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

渦 2


自らが政宗を避けていたのに、結局気になって一睡も出来ず、
幸村は朝を迎えた。
清々しく囀る雀の声すら厭わしい。

心の内に燻ぶる気持ちを持て余しながら、幸村はせめてと早朝稽古に起きた。
氏康と政宗の事を始終考えてしまい、眠れぬ夜を過ごした上に、
どうにも消化しきれない感情を持て余して、気も鬱々としていて、とにかく発散したかった。

夜着から着替えて、槍を取った。
まだ早朝、眠りの中にいる者が多いだろう城中を、足音を立てずに進んでいく。
鍛錬場までは少し距離があるが、幸村は急がず静かに歩を進めた。

すると、目の前を政宗が歩いている。
冬の早朝、夜着だけでは肌寒いのか、羽織に包まり、足早に歩いて行く。
一目を避けて自室に戻る所なのだろう。
周囲を気にしながら、注意深く進んでいるようだった。

その姿を見て、幸村の胸中には更に複雑に、淀んだ感情が満ちていく。
国を守るために仕方が無い事も、政宗が父から託された奥州を大切にしていることも知っている。
他の大名や武将から、どのように思われようとも、誹られようとも、
国を思い、民を思い、その小さな体で一人、虚勢を張りつつ頑張っていることも。

だが、"知っている"ことと"理解している"こと、そして許容することは、
まったく別物だと、幸村は感じていた。
理解していても赦せないことがある。
心が狭いと詰られようと、厭なものは厭なのだ。

(…わたしは、こんなにも心の狭い人間だったのか…)

恋人の立場を理解していながら、それでもやはり、自分以外の男に体を赦して欲しくはなかった。
それが、国のためだとしても。

(なんと我侭で狭量な男だろう…)

締め付けられるような胸の痛みを感じ、幸村はそっと自身の胸を握り締めた。
深く、着物に皺がよることも気にせず、こちらに気付かない政宗を見つめ、そっと足を踏み出した。
今政宗は誰とも会いたく無いかも知れない。
けれど、無性にその体を抱きしめたいと思った。

未だ幸村の気配に気付いていない政宗は、自室の前に着いたせいか、
ほっと一息、安堵の溜息を漏らしていた。
そして、その後、小さく欠伸を噛み締めた。

その姿を見て、幸村は、心の中の何かが、勢い良く割れるような錯覚に陥った。
音を立てて崩れていくそれと同時に、一晩押し留めていた想いがはじけ飛ぶように身体中に広がる。
怒涛のような激しい怒りと嫉妬に、幸村は思わず駆け寄って、政宗の腕を取っていた。

「…っ?!幸村っ?」

驚きに見開かれる隻眼を見て、幸村の感情はさらに暴発する。

「今、戻られたのですか?」
「…あ…あぁ……」
「昨夜は、やはり氏康殿の寝所に?」
「ああ。だが、氏康とは…」
「聞きたくない!」

何かを告げようとした政宗の言葉を強く遮り、幸村は知らず、腕に力をこめた。
珍しく怒気を孕んだ幸村の声と、思いのほか強く握られる腕の力に、政宗も瞠目する。

「聞きたくない。何も。」
「幸村…待て、話を……」

幸村は、強い力で政宗を引きずるように、部屋に連れ込む。
襖を閉め、眠った形跡の無い寝具の上に、政宗を突き飛ばした。
今まで、幸村からこのような乱暴な扱いを受けたことの無い政宗は、
ただ驚くばかりで抵抗という文字すら頭に浮かばない。

手にしていた鍛錬用の槍を、政宗の頬ギリギリに突き刺し、
夜着と寝具と畳を縫い付ける。

「ゆき…っ……!」
「…政宗……」

あまりに切なく自身を呼ぶ幸村の声に、政宗の体が強張る。

「氏康の痕など残さぬように、わたしが全て塗り替える。
政宗殿は、わたしだけのものだ。」

いつもなら、政宗を気遣い、絶えずゆっくりと事を進める幸村が、今は性急に政宗の肌を暴く。
乱暴とも、狼藉とも取れる嵐のような行為を、政宗はただ受け止めた。

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