某番組で、しきりに『白き女王』と連呼されていたので
なんとなく書きたくなりました。
でも女王とか言いながらもソウ+キドなんですけどね。。。
ノリとしては、『荊の王』的な感じでしょうか。
情景に関しても不自然な点が多々ありますが、その辺はフィクションなので!
笑ってお許しくださいませ。
血の表現、大量☆人表現があります。
大丈夫な方は『つづき』よりどうぞ。
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冷酷なる黒き女王
ゆったりと体を預けるその玉座のような椅子は、とても豪奢だ。
己の良く知る人物なら、あまり好みそうにない趣味のもの。
けれど、その不自然に飾り立てられた椅子に腰掛けるのは、紛れもなく本人で。
ソウルは大きな違和感を感じた。
玉座に座る小さな体は、それでも存在感・威圧感、共に死神のそれに相応しかった。
そして、唐突に語り出す。
「どうやら、俺は断片であるらしいな。」
肘掛に肘を置き、ゆったりと体の前で指を組むキッド。
誰に聞かせるでもないように、視線はソウルに定まっているわけではなかった。
だから、一体"何の"断片であるのか、疑問に思ってもソウルは口にしなかった。
ただ、キッドの独白を聞くに留めた。
部屋…と言うより、空間と言うに近い所に、
玉座と、それに座るキッド、ソウル、それだけしかない。
響くのはキッドの声のみ。
キッドが言葉を紡ぐのを止めれば、沈黙の音がする。
キーンと耳に痛い。
「断片、死神、いろいろ呼ばれているようだが、正直俺は何でも良いんだ。
この俺が存在している、その事実だけで良い。」
「キッド…」
時折紡がれるキッドの声は、心地よくも聞こえるし、怖ろしくも聞こえた。
死神、と認識していたが、今のソウルにはキッドが何者か分からない。
ただ、どこか畏怖を感じる存在ではあった。
「全てを無に帰す。それが俺の役目だ。」
「キッド…」
「もちろん、お前もだソウル。」
その言葉のあと、ようやく視線が噛合う。
その瞬間、ソウルの背にゾクリと恐怖が走った。
嗚呼――、もうあの頃の、みんなで騒いだ幸福な時は戻らない。
理解した瞬間に、ソウルの視野が開けた。
キッドとソウルと、玉座しかないと思い込んでいた場所は、血塗れた教会。
足元にはただの肉塊と成り果てた人々。
周りには無数の魂が、まるで灯りのように浮かんでいる。
足元さえ見なければ、幽玄で荘厳な光景。
ただ、万人にとって恐怖の光景だ。
玉座に座る琥珀の瞳は、視線が合わなかったのが嘘のように、
今はひたりとソウルを捉え、外れることは無い。
"逃れられない"と本能に語りかけるように、その琥珀はじっとソウルを見据えていた。
「武神になる、とブラック・スターは言った。だが、口ほどにも無かった。
デスサイズになったお前はどうだろうな?」
ゆっくりと琥珀が緩み、口角があがった。
玉座に座るその姿は冷酷な絶対者のものだった。
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