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日々の徒然や妄想など
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久しぶりに、戦国の幸政で妄想。
本当に妄想なので、史実やゲームの内容とは一切関係ないのです。
戦国シリーズを無視した構成になっておりますので
(出会いの順番とか諸々)
なんでも赦せる心の広い方向け。俺様幸村発動中。

大丈夫な方は、「つづき」よりどうぞ。
幸→→←政的な。
氏康絡み。

今はネタ的にあげていますが、きちんと書き込みたいなぁと思っている品。


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*




見なければ良かった、と後悔しても遅かった。
政宗と会うため、回廊を進むと、その先に目当ての人物が居た。
声を掛けようと近づけば、物陰には大柄な男が立っている。
その男が、関東の雄・北条氏康であることは、見てすぐに分かった。

政宗も煙草を好むが、氏康も煙草を好んでいるらしく、
常に煙管を持ち歩いている。
その煙管をふかしながら、何事かを政宗に言っているらしかった。
聞くつもりはなかったのだが、今更踵を返してその場を立ち去るのもおかしい、と考え
幸村は暫し立ち止まり、ついつい様子を窺ってしまったのだ。

日ごろの癖か、気配を消して耳に入ってくる言葉は、自身の耳を疑いたくなるものだった。

「これは、お願いじゃあないぜ、小僧。命令だ。」
「…命令じゃと?」
「今の関東・奥州の情勢を考えな。動向を見て動くってのも、大名には必要なモンだ。」
「………」

手を握り締め、立ち尽くす政宗の肩に手を置き、氏康は政宗の耳元で何事かを囁くと、
悠然と立ち去っていってしまった。
もしかしたら、幸村に気付いていたかも知れないが、とにかく今は、政宗の様子が気になる。
幸村は立ち尽くす政宗に駆け寄った。

「政宗殿!今のは?」
「…幸村か。」

やや虚ろな表情で幸村を見上げる政宗には、当然のように普段の溌剌とした覇気がない。

「何か、ありましたか?」
「なんでもない。気にするな。」
「ですが…」

食い下がる幸村に、政宗は一瞬眉間に皺を寄せたが、
諦めと、己が孕んだ怒気を吐き出すように溜息を吐いた後、事も無げに告げた。

「今宵は同衾せよと、命じられただけじゃ。」
「同…衾……それは…っ…!!」
「あのじじぃもなかなか喰えん奴じゃ。」

言葉の意味を噛み締めるように繰り返し、幸村は政宗の肩を強く掴んだ。

「まさか…承諾するつもりですか?!」
「…諾とせざるを得まい。この状況では断れぬ。」

政宗自身が、秀吉の命を受け南下しており、今奥州は守りが薄い。
そこへ、北条が攻めないとは言い切れないのだ、と暗に含めた言葉を悟り、
幸村は一瞬息を飲むが、政宗に食い下がった。

「ですが…政宗殿はそれでよろしいのですか?」
「わしに、否はない。」

変わらず、手の平を握り締めながら、政宗は平然と告げる。
平気な筈は無い。政宗の答えは、"否"に決まっている。
絶えず自身に誇りを持ち、振舞っているのだから、
夜伽を命じられたも同様である同衾を受けることが、政宗の自尊心を酷く傷つけている筈だった。
何より、幸村と政宗は好きあっているのだから、政宗が他に体を赦すとは考えたくなかった。

「政宗殿…」
「なんじゃ幸村、その湿気た面は。」

肩に置かれた幸村の手をさり気なく払い、政宗は自分よりも上方にある幸村の鼻をつまんだ。
そして、幸村が口を開く前に続ける。

「大して珍しくもない事じゃ。お前も、操立てがどうこうなどと、下らぬことは言うでないぞ。」

幸村は、政宗の口から、この言葉を聞きたくはなかった。
身分違い、勢力違いなど分かっていたが、それでも政宗を好いて恋仲になったのに、この言葉は辛い。
幸村も政宗の立場や今の状況は分かっているつもりだが、感情はついていかない。

「酷い人だ、貴方は。
分かっていても、それでもそんな言葉は聞きたくありませんでした。
政宗殿は、わたしだけを見ていれば良い。感じていれば良いのに…。何故……」

政宗が何かを言いかけようとしているのに気付いたが、
幸村はそのまま踵を返して立ち去った。

その日はそれからも何度か政宗とすれ違ったが、
幸村はさり気なく政宗を避けて過ごした。
夜、夜着に羽織を掛けた政宗が、氏康の寝室へ入っていくのも、ただ見送るしかできなかった。

幸村の中に渦巻く感情は、明るくほの甘い恋慕の情から、黒く濁った欲の塊へと変貌していった。

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