村雨城の鷹丸とのやり取り、なかなか萌ゆるのです。
そんな中で生まれた、妄想。
鷹丸 → 政宗 ← 幸村で、
幸村はほんのり匂わせている感じです。
この感じだと、幸村の代わりに三成でもいけるかも知れない。
今、三成×政宗を書き込んでいますが、
お互いツンツンしてるので、ちっともデレデレしません。
さすが、ツンデレ属性同士のカップリング。
話が逸れました。鷹丸 → 政宗が大丈夫な方は「つづき」よりどうぞ。
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黙して語らず、目で殺せ。
「政宗殿。」
「なんじゃ、鷹丸。」
「こうして二人で居ると、なんだか可笑しな気分になってくるのです。
これもムラサメの…いや、宝玉の力でござろうか。」
「……貴様の頭が沸いておるのだ、馬鹿め。」
はぁ、と政宗は溜息を吐く。
何の因果か、領内を検分していたはずが、気づけば訳の分からない
異形の者と戦う羽目になった。
さらに、この未来から来た侍だという、
鷹丸と名乗る男に、事の他好かれてしまったらしいのだ。
単なる成り行きで鷹丸を助け、民が困っているというので、
協力を申し出た政宗だったが、未来というのは余程、開放的なのか。
鷹丸からの接触が非常に多くて困るのだ。
ぴったりと寄り添ったかと思えば、手を握られ、
さり気なくその手を解いてみても、手だけではなく、足や頬やらに触れてくる。
果ては冒頭のような、まるで女子を口説くようなことまで言い始める始末。
(可笑しな気分じゃと?
宝玉の力のせいじゃと?笑わせおるわ。)
鷹丸の言葉を、馬鹿馬鹿しい、と吐き捨てることは簡単だ。
だが、何故かこの鷹丸という男、放っておけなかった。
この人懐っこい性格のせいだろうか。
ふと、視線を感じて顔を上げると、
そこには熱っぽい目を向けてくる鷹丸が立っている。
言葉で語られるより、ずっと心にずしりと響く。
「…なんじゃ、何か言いたいことでもあるのか?」
何時頃の未来から来たのかは知らない。
が、未来では言葉ではなく、別の何かで、意思表示しているのだろうか。
「政宗殿…」
「だから、なんじゃ!」
政宗は、苛々する。
鷹丸が言葉にする内容はとても薄っぺらで、遠まわしだ。
彼の瞳の方が、もっとずっと直接的に、良く語る。
この種類の瞳を、政宗は良く知っていた。
鷹丸ではない、緋色の似合う男も、同じ目で政宗を見る。
『…政宗殿…』
ふいに、今思い出した男に、耳元で囁かれたような気がして、
政宗は知らず身震いした。
「…拙者と居る時に、別の御仁の事を考えていらっしゃるのか?」
「なっ?!」
近づいた鷹丸に気づかず、政宗は呆気無くその腕の中に納まった。
どいつもこいつも、人を猫の子のように抱きたがる、と胸中悪態吐きながら、
政宗は鷹丸を睨み上げた。
「なんの真似じゃ?」
「…ムラサメを倒さねば、政宗殿と一緒に居られるのでござろうか…」
「何の讒言じゃ、それは。民が困っているのを、見過ごせぬのではなかったのか?」
「拙者、政宗殿と離れたくないでござる。」
「…未来でお前を待っておる人もおるじゃろう。」
「貴殿の側に居られるなら、拙者未来を捨てても良いでござる。」
馬鹿な事を、と政宗は続けて、鷹丸の腕から逃れようともがく。
が、どう頑張っても鷹丸の腕の力は緩まず、逃れることは出来ない。
諦めたように政宗は再び溜息を吐いた。
(どうやら、わしはこういった輩に好かれる運命のようじゃ。)
そして、それを無碍に扱うことが出来ない。
鷹丸が、弓月の兜を取り払うのを他人事のように感じながら、
政宗は鷹丸の瞳をじっと見た。
「お前にそのつもりがあるのなら、わしは口を挟まぬが…。
この伊達政宗が、そう易々と手に入れられると思うなよ?
わしが欲しくば、その命を賭す覚悟をするんじゃな。」
「…政宗殿…」
政宗の言葉に目を見開いた鷹丸は、ふっと笑んで、その体から離れた。
「ちょっとした、冗談でござる。」
「ふっ。根性無しめが。」
挑戦的に口角を上げ、政宗は内心ほっとする。
おそらく、あのまま押されていたら、流されてしまっていただろう。
踏みとどまった鷹丸を高く評価しながら、取られた兜を受け取り、
政宗は「行くぞ」と次の目的地へ向かった。
背後に感じる、鷹丸の熱っぽい視線は、変わらず政宗をじりじりと焦がした。
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