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随分と久しぶりに、『奥様は死神』シリーズで。
(あれも続きを書きたいなぁ…)

超ショートで割りと下ネタ。
ソウキドです。大丈夫な方は「つづき」よりどうぞ。

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

奥さまは死神(超ショート)


「二人ってさぁ、結婚して暫く経つけど、子づくりの計画ってあるの?」
「ぶほっ?!」

よく晴れた日の午後。
なんとなく集まったいつものメンバーと、最近オープンしたばかりのカフェに入った。
テラス席に通されて、オーダーした品もテーブルに並んだ頃、
口火を切ったのはやはりマカだった。
口にしていたコーヒーを思い切り噴き出したのはソウル。

飛び散った珈琲の飛沫で、場は一時騒然となるが、それもすぐに収まる。

「で、どうなの?」
「…どうって…」

何ごとも無かったかのように、けれどこの話題には興味津々、といったメンバーは
並んで座るソウルとキッド、二人に視線が集中していた。

ぱくぱくと、水中酸素濃度が低い状態の魚のように、
口を開閉させて、何とか言葉を繋ごうとするが、うまくいかない。
そんなソウルを尻目に、キッドは涼しい顔で珈琲を飲んでいる。

「別に、キッドくんが答えてくれても良いよ?」
「あ、それアタシも聞きたい~!いつもどっちから誘ってるのか、
気になってるんだよぉ」
「どうせ、ソウルが襲ってるに決まってる。」
「まぁ、ソウル君も男の子ですから。」
「キッドだって男だろ。」

マカをはじめ、パティ、リズ、オックス、ハーバーと続く。
こういった会話を聞きながら、一体自分は彼等の中で、どんな認識なのか、と
ソウルは少し、考えてしまう。
場合によっては今後の付き合い方も変えたいところだ。

が、そんなソウルの胸中とは裏腹に、キッドはサクサクと答えていく。

「子作りの計画、というのは無いな。俺が言うのもなんだが、授かりものだ。
大概はソウルの方からだが…俺から誘わないこともない。」

珈琲を啜りながら、瞳は閉じられたまま、淀みなく出てくる回答に、
一同がざわめく。
彼等もこんなあっさり聞きだせるとも思っていなかったんだろう。
それに、こういった話は、少々恥ずかしがっているところを無理に聞き出す、
という所に醍醐味もある。
こうもすんなり回答されると、相手を困らせてみたくなるのが人情。
さて、次はどんな質問を、と一同が考えていると時に、
一番興味なさそうにストローの吸い口を噛んでいたブラック★スターが問いかけた。

「子作りの計画はないって言うけどよぉ。だいたい平均すると何回くらいなんだ?」

一種、核心を突くような質問に、その場の空気が凍りつく。

「ちょっ…おまえらなぁ……いい加減に程度ってもんを………っ」
「4回だな。」
「…って、えぇ?! キッド、おまえそりゃちょっと言い過ぎじゃ…っ」

止めに入ったソウルすら遮り、キッドはぴしゃりと言い放った。
流石にソウルも度肝を抜かれ、振り返ってキッドを見やる。
そこには、蜜色の瞳を緩めてはいるものの、眼底には昏い殺意をこめたような、
半眼だけれど、とても良い笑顔のキッドが居た。
その全身から迸る黒いオーラは髑髏の形を模して、空気を打つ。
ピシッピシッと聞こえてくるのは、そのオーラが弾け、空気を裂く音だ。

「先に言っておいてやろう。4回というのは、もちろん週単位じゃない。
1回につき、4ラウンド、という意味だ。ソウルはなかなか放してくれないのでな。」
『……・・・…えぇっと…………』
「しかし、そういえばここ最近ご無沙汰だなぁソウル?
以前は確か、週3回程度はシていたように思うのだが…」
「あの…キッドさん…?」

とにかく、今、目の前の死神様は怒っていらっしゃる。
この場にいる全員の思考が一致した。
おそらく、原因は自分達がした質問の数々だろう。
そして何故か、一緒に冷や汗をかいているソウル。

「いろいろと溜まっていることだし、
貴様等も、くだらん質問をしてくるくらいだ。
相当暇で体力も有り余っているんだろう?」

そして、おもむろにキッドが立ち上がる。
手にしていたコーヒーの中身は、口にした分もあるだろうが、
おそらくその半分は蒸発していた。
静かにソーサーに戻したにも拘わらず、パン!と甲高い音を立てて、
カップは真っ二つに割れてしまった。

キッドが無言で、軽く右手を掲げれば、まるで吸い込まれるように武器化し、
その手の中に納まるソウル。

「あっ!きったねーぞソウルー!!」
「つか…キッド…マジかよ?!」
「ごめんねキッドくん!ちょっとアタシたち興味本位に聞きすぎたって言うか…!!」

みんなが口々に何かを言っていたが、キッドには関係のない事だった。

「さぁ…誰から狩られたい?
くだらん質問をする輩は、性根から叩きなおしてやる。」

キッドの極上の笑みだったにも関わらず、
その場に居た全員が、恐怖で身が凍えた、と後に語っている。
ちなみに、キッドが答えた内容はすべて真実だった。

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