指
節が目立つが、男にしては綺麗な指だと思う。
どんな武器もソツなく使いこなすが、やはり銃器の扱いが一番か。
人差し指ではなく、小指をつかってトリガーを引く、独特のタイプ。
その扱い、体術との組み合わせを見て、
『鮮やかだ』
と素直に思う。
デスサイズになるのが目標ではあるが、
何時かは自分もあの手の中で力を振るうことが出来るのだろうか、と。
半分も魂を狩り終えていない、今の時点では遠い先のように思える。
そんなとき。
任務中にマカが風邪を引き、キッドが派遣されてきた。
姉妹も一緒かと思いきや、姉妹は姉妹で別の任務だという。
まぁあの二人は、お互い使いあう事が出来るから、
職人がいなくても任務をこなすことは可能と言えば可能だ。
「いくぞ、ソウル。」
「…おぅ…」
いつもとは違う声、違う波長。
相手はマカじゃない。キッドなのだから当然だ。
それなのに、どこか不思議な感覚が襲ってくる。
武器化をして、憧れでもあった、その手の中へ。
触れらた瞬間身体に走る衝撃。
波長が合っていないのだ、と感じる間もなく、キッドは器用に波長を合わせてくる。
さすが死神。
感心しきりのオレに、キッドの苦笑が伝わってきた。
「マカではない職人と組むのは初めてか?」
「え?…あぁ、まぁ…。お前の編入初日、ブラック☆スターと組んだくらいだな。」
「これでも俺は死神だからな。武器に波長を合わせることくらい、たやすいぞ。」
現在の死神様もデスサイズスを組織して、様々な武器を所持(?)している。
キッドからしてみれば、どんな武器も扱うことは当然なのだろうが…。
「お前も、デスサイズになるのが目標なら、マカ以外の職人にも慣れることだな。」
憧れていた指が、武器化したオレを撫でる。
愛おしそうな、優しい波長に満ちた指先。
想像していたよりずっと、心地良い波長。
「あぁ…そうだな。早く、お前のデスサイズになりたいもんだ。」
呟いたオレにキッドがなんと答えたか、攻撃を受けたその空気の唸りで、
聞き取ることは出来なかった。
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