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関係
強く、腕を引かれる。
唐突な出来事に咄嗟に反応できず、キッドは引かれるまま、ソウルの腕の中になだれ込んだ。
何をする、と声を出そうとして、それは失敗に終わる。
ソウルの唇が、キッドのそれを塞いだから。
瞬間、何が起こっているのか理解できず、キッドの反応は更に遅れた。
引かれた腕はそのままに、反対の腕で体ごときつく抱きしめられる。
あまりの力強さに一瞬息が詰まり、ふっと溜息のような、悲鳴のような、吐息が漏れた。
その隙を逃さず、ソウルの舌がキッドの咥内に入り込んでくる。
熱く我が物顔で蠢く舌が生々しく、キッドは頭を振って逃れようとするが、
ソウルのどこにそんな力があるのか、全く逃れられる気配がない。
逃げても、キッドの狭い咥内で舌は簡単に絡め取られて、甘く吸われる。
その度にぞわぞわとキッドの背を這う感覚。
舌を舌で撫でられ、絡められ、吸われ。
その後は上顎を舐められる。
ビクリ、と悪寒以外の何か別の、甘い痺れがキッドの体を走る。
「…っ…ふ…」
漏れた息と、あふれ出す唾液。
どちらのものともつかない体液が、キッドの口端から伝う。
そのぬるいような、冷たいような感覚に、キッドは眉をひそめた。
ここへ来て、ようやく事態を把握したキッドは、ソウルの身体を押し返した。
身体が離れ、手が離れ、最後に唇が、名残惜しそうに離れていった。
「…どういう…つもりだ…」
自らの袖で、ぐいっと口端を拭って、先ほどまでの濃密な、甘やかな雰囲気を消す。
目の前のソウルはどこかシニカルな笑みを浮かべている。
嫌がらせにしては、性質が悪い。
キッドはソウルを睨みつけたつもりだったのだが、少し乱れた吐息と相俟って、
ゆるく潤んだ瞳、赤く染まった目尻がどれほど効果があったのか。
「これでもう、友達には戻れねーな。」
ソウルの言葉に、キッドの眉間に皺が寄る。
「どういう意味だ。」
キッドが問えば、ソウルはやれやれと、溜息を吐きながら答えた。
「俺は、お前が欲しい。全部、奪ってやりたい。」
好きだから、と続けた後、すぐさま背を向けて立ち去るソウルを見送り、
キッドは呆然と佇んだ。