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日々の徒然や妄想など
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新しい海洋一家物語のCM。
めがっさイクタラではなかですか!!
んもー。自家用小型セスナに乗っけてナニする気?!(*≧∇≦*)
みたいな。

まー、↑のコメントとは内容は違うのですが、
「つづき」より、SEソウキド。たまにはソウル←キッドさんで。
恋に気づいてないキッドさんと、それを愉しむ(?)ソウルさん。

全ての生き物の鼓動の回数は決まっているのだという。

一律約15億回。

ただし、体の大きさや種によって、鼓動の速度が異なる。
同じ哺乳類でも、大きさや種類によって寿命が異なるのはそのせいだ。

では、神はどうなのだろう?
鼓動のスピードが極端に遅いとも思えないから、
おそらく、回数の方が桁違いなのだろう。
桁違いの回数なのだとしても、おそらくコイツは確実に俺の寿命を削っている。


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*


図書館で、古書を借り出し読みふけっていると、書面にふと影が落ちた。

「お前、また本読んでるのかよ。」

見上げれば、まだ高い陽射しを背に受けたソウルが立っている。
逆光で表情は良く見えないが、影が薄くなっている部分、ちょうど口角の辺りが緩く上向いているので
おそらくその顔は、彼なりの不器用な微笑みに模られているのだと思う。

「ここにしかない資料があってな。少し、調べたいことがあったんだ。」

ソウルの魂が図書館に向かっているのを感知してから、
ずっと書面の文字列は頭に入ってこなかった。
どの道、ソウルが立ち去るまで集中は出来ないのだから、と俺は小休止を取ることにした。

本に栞を挟みこみ、静かに閉じる。
装丁は丁寧に施され、補修もされてはいるがやはり古書。
取り扱いには気を使う。
一般生徒には閲覧許可が下りていない、重要な書物だ。
特に丁寧に扱わなければならない。

「へぇ。何調べてんだよ?」

机に手を付き、俺の手元を覗き込んでくるソウル。
目の前に、息が触れそうなほどに近く、銀髪が視界を覆う。
陽を反射する髪が眩しくて、俺の鼓動は速くなる。

「……っ…」
「キッド?」
「む…っ…むかしのっ!……ちょっとした記録だ……」

針金のように見える髪だが、近くで見ると存外細い。
そんなことに感心しながら息をつめていると、
返事をしない俺に、ソウルがこちらを見上げて声を掛けてきた。
この至近距離で顔を上げるのは止めて欲しい。
紅玉を思わせる瞳に俺の鼓動は更に速まるのだから。

かなり焦って上ずった返事をしてしまった。

「…ふぅん…?」
(あぁ…クソっ……なんなんだ一体。)

右手で胸の辺りを掴みながら、何とか冷静になろうと呼吸を整える。

「……お前は、何しに来た。」

どこか揶揄い半分のソウルの言葉に、必死に言葉を繋ぐ。
お前を探してた、と事も無げに言うソウル。
何か用事でもあったのか、と問えば、若干背をそらしてソウルとの距離を取ろうとする俺から、
ゆっくりと離れソウルは笑う。

「用事がないと、お前を探しちゃダメなワケ?」
「意味が分からん。」

普通は用事があるから、探すんだろう?
疑問を瞳に込めて見上げると、ソウルは多分、俺のこの疑問に気づいたのだろう。
うなじの辺りを掻きながら、コキっと軽く首の骨を鳴らしている。

「まぁ、用事っちゃー用事かな。」

帰ろうぜ、と手を差し出され、俺はようやく収まってきていた鼓動が、
再び早鐘のように打ち出すのを感じた。

(五月蝿い心臓め…。いっそ止まってしまえ。)

実際止まってしまってはとても困るのだが。
俺はそんな事を考えながら、無意識にソウルの手を取ってしまった。

「この本片してくる。ここで待ってろ。」

軽い溜息と共に、ソウルの手を支えに椅子から立ち上がる。
もうこんな状態では集中も出来ないし、ソウルが『帰ろう』と言うのだから、
きっと俺が帰るまで側に居るに違いない。そうなればさらに調査など出来ない。

ソウルをその場に残して閲覧用の机から離れる。
書架の間を縫って奥まった通路を歩く。

五月蝿くせわしない鼓動を感じながら、少しでも静まるのを願うが、
ソウルと居るといつも落ち着かないのだ、この心臓は。
自らの意思に反して速まる鼓動を制御できない。
それでも、少しでも落ち着こうと深呼吸をしながら、ゆっくりと歩を進めた。

あと少しで司書の居るエリアにたどり着く、その時。
強く腕を引かれて、俺の体は書架に押し付けられた。
背に、硬い木と、不揃いな本の背表紙を感じる。

「…っな?!」
「キッド…」

耳元に感じる低い声は紛れも無くソウルのもの。
これまで以上に速まる鼓動に、顔に熱が集まるのを感じた。
本棚と、ソウルの両腕に囲まれて、身動きが取れない状態。
相当驚いているし、動揺しているが、何とか手にしていた本だけは落とさずに済んだ。

「…っぅる……なんなんだ…っ一体…」

必要以上に近いソウルとの距離、更にはあと数歩も進めば
司書が居る、この状況に、俺の声は自然と上擦ってしまう。

本当に、訳が分からない。
勝手に速まる鼓動も、ソウルの行動も。

「んなに怯えんなよ。何も取って喰う訳じゃねーんだから。」
「…っあたりまえだ!いくら魔武器とは言え、死神の魂を喰えると思うな!」

司書に聞かれるかも知れない。
そう思うと声は小さくなるが、鼻先が触れるほどに近いソウルの顔に緊張してしまう。
そして、その緊張を隠すために口調が強くなってしまった。

「……お前も、いい加減気づけよ…」

はぁ、と溜息をつくソウル。
全てを分かっているような言葉に、少々苛つく。
一体、何に気づけというのか。
とにかく心臓が五月蝿くて仕方ない、この状況で。

「本当に、何にも知らねーお坊ちゃんなんだな、おまえ。」

言葉は馬鹿にされているのに、ソウルの指が俺の髪を梳く、その優しい仕草に
一瞬言葉に詰まる。相変わらず、心臓は五月蝿い。

「な…に…」
「面白いくらい態度に出てるのに、無自覚かよ。」

ソウルの指は髪をすべり、気づけば耳朶を弄ぶように触れていた。
ぞわぞわと肌が粟立ち、背に何かが走る。

(悪寒か…?違うな…なにかもっと別の…)

俺の意識が別の方向に飛びそうになったのを、ソウルが引っ張り戻した。
耳朶に触れていた指が、俺の唇を撫でる。

「ソウ…っ!!」

戦闘時とは違う、また別の意味で過敏になっていた俺は、その指の動きに驚く。
ソウルが指先で触れただけなのに、ビリビリとした感覚に襲われる。
驚いて思わず叫びそうになるが、ソウルの名を呼び終わる前に、俺の唇は塞がれてしまう。

「…っ……!?」

もうこうなってしまうと、軽い恐慌状態で。
訳も分からず、頭は真っ白になった。
ただただ、心臓だけが五月蝿い。
耳にまで鼓動する音が聞こえてきそうだ。

背には本。
左右にはソウルの腕。
叫んでしまいそうだった俺の声を押し留めるように塞がれた唇。

ぬるりとした何かが咥内に入ってきて初めて、キスされているのだと自覚した。

速すぎる鼓動と、さらには呼吸することを忘れていたようで、
くらくらと眩暈がしてきた。
酸欠状態なのかもしれない。
酸素が欲しくて、俺はソウルの腕を掴んだ。

「っっ……ん……ぅっ!」
「…っ暴れんなって……司書に見つかるぞ。」

力任せに引き剥がそうとしたら、あっさりと解放された。
肺に行き渡るように呼吸を繰り返し、目の前のソウルを睨む。
一体、どういうつもりだ、と。
しかし目の前のソウルは詫びれもせずに、自らの唇を舐めるだけ。
その舌がついさっきまで俺の咥内にあったのかと思うと、顔から火が出そうだ。

「本、返すんだろ?」

いつの間にか解放されていた俺は、慌ててソウルとの距離を取る。

「早く帰ろうぜ」

言外に、本を早く返して来いというソウル。

「どういうつもりなのか、道々きっちりかっちり説明してもらうからな。」

何とかそれだけ言って、俺は本を返すために司書の元へと急ぐ。
我ながら、足取りは覚束無いし、ふらつく。
多分、顔も赤くなっているだろうと思う、が、今はソウルから離れることが先だった。

ソウルと、司書との間の、わずかな書架の陰に隠れて、
俺は深く深く呼吸を繰り返した。

コイツと居ると、俺は思ったより早く死ねるのかも知れない。
痛いほどに速い鼓動の理由を、この時まだ知らなかった。

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