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日々の徒然や妄想など
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SEの世界とはちょっと違う世界感のソウキド。
キッド:死神、ソウル:武器設定は変わりません。
プチパラレルちっくな感じで。
しかも若干、倦怠期ちっく。
それでもOKの方のみ『つづき』よりどうぞ。

『俺と共に、永遠を過ごして欲しい。』

キッドに告げられたとき、俺は特に深く考えるでもなく頷いていた。
俺は武器で、人間。キッドは職人で、死神。
けれど俺たちはその時付き合っていた。
確かに恋しいと思って、愛しいと思って一緒に居たはずだったし、
キッドからこう告げられたとき、正直嬉しかった。
OKしたときも特に悩まず、家族とマカにキッドと共に在ることを伝えた。

それから百年しか経ってない。

俺はぼんやりと世界を眺める。
時を刻む世界と、時を止めた俺。そこにある確かな隔絶。

大振りな枝を広げ、太陽からの陽射しを目一杯浴びようと、
緑の葉をまとうのは、百年前に仲間と共に植えた木。
その枝の一つに、俺は脚を伸ばし、幹に背を委ねている。
高く、大きく育ったその木は、俺と世界を繋ぐモノ。

始めの20年くらいはそれこそずっとキッドとべったり一緒に居た。
死神であるキッドと武器の俺。行動はいつも二人一緒。
俺の姿は25歳で時を止められたまま。
けれど、他の仲間が老いてゆくのを見ることが出来ずに、
キッドの許しを得ずに側を離れた。

この百年で、仲間は全員逝ってしまった。
葬儀には出席できずに、ただ、遠くから見守っていただけ。
キッドは仲間全てを看取って、全ての魂を尊ぶように集め、次の世へと送り出していた。

おそらく、俺が見ていることはキッドには分かっていた筈。
それでもキッドは俺を連れ戻そうとも、探そうともしなかった。
本当は呆れていたのかも知れない。
この後に及んで、まだ仲間の死から逃げていること。
『永遠に共に在る』という意味を理解しようとせずに、キッドの言葉に頷いたこと。

後悔していない、と言えば嘘になる。
でも、キッドにあんな顔をさせたくは無かったのだ。あの時は。
今もその気持ちは変わってないけれど…。
ここ50年ほどまともにキッドと顔を合わせていないのは、
まだ俺自身が、『永遠』と『キッド』に正面から向き合えていないからだ。

殺伐としていた百年前とは変わり、今はとても穏やかで優しい世界になっている。
前の死神様が眠りについてから急に世界は変わった。
おそらく、キッドが死神に就いてからだ。

相変わらず、死武専も在るし、職人も武器も生まれている。
でも今ではその存在は稀有なものだ。
前の死神様が目覚めている間は、世界は混沌に陥りやすく、
キッドが死神の間は比較的穏やかな時代が続くのだと言っていた。
二人の死神が交互に世界を束ねる。

創造・繁栄の死神と
衰退・破壊の死神。

キッドと死神様はそれぞれに担っている役割が違うのだという。
次に死神様が目覚めるのは何千年後という話だが、俺には想像つかない程の時間だ。
たった百年足らずで音を上げるようでは、ダメなのだろう。

俺はもたれていた木の幹から体を起こした。
全てに、決着をつけるために。

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

「…珍しいな、お前の方から訪ねてくるなんて。」
「ここは相変わらず、手入れが行き届いてるな~」

数十年振りに訪れた死刑台屋敷の、キッドの部屋を見渡した。
今はもう、眠る死神様とキッドだけの住まい。
記憶から薄れつつある賑やかな姉妹の姿も気配も、無い。
ただ写真だけが大切そうに飾ってあった。

「どうした、魂の解放でも求めに来たのか、ソウル?」
「…いや。俺自身に落とし前付けに来た。」

ふかふかなソファから立ち上がり、キッドが歩み寄ってくる。
相変わらずきっちりと着込んだスーツは、今日は黒ではなく深い藍色のものだった。
キッドの黄金の瞳、白い肌に良く映えるビロード地のそれ。

「落とし前?」

不思議そうな顔をするキッドを俺は抱きこんだ。
久しぶりの温もり。
離れている間、確かに欲したけれど抑える事が出来た欲望は、
ここに来て一気に溢れ出るようにキッドへと向かっていく。

「…なんだ、盛りに来たのか?」

一度、キッドを捨てて逃げ出した俺に対して、キッドの言葉は容赦がない。
当たり前だ。『永遠を共に過ごす』といったのに、たった20年足らずで逃げ出して、
100年でもうこの命の長さにギブ寸前なのだから。

「カンフル剤をくれ。」
「…意味が分からん。」

冷たいが、振りほどかれることの無い腕に力を込めて、そこからキッドの上顎を持ち上げる。
お互い心身共に絶頂時の25歳前後で姿をとどめている。
俺の方が10cmほど身長が高い。

「やっぱり、俺はお前が好きだ。」
「50年かけて見つけた答えがそれか?この先が思いやられるな。」

苦笑するキッドの表情にはどこか安堵が混じっている、と思いたい。
そんなキッドに、俺は唇を重ねた。

「もし、俺がお前からの…この永劫の命からの解放を望んだら、
お前はどうしてた?」
「解放しただろうな。腑抜けに興味はない。」
「…ひでぇ…」

冷たいことを言いつつも、キッドの指先が俺のシャツの裾をつまんでいる。
これは、いつの間にか覚えてしまった、キッドの"寂しい""不安"のサイン。
だから俺は笑って答えることが出来た。

「今度こそ、お前と一緒に居るよ。」
「…貴様など、アテにならん。」

言いながら、俺の首に腕を回すキッドを愛しく思いながら、
その身を背後のベッドに横たえた。

「何年振り?」
「……貴様よりは短いかもな…」
「浮気したのか?」
「50年も姿をくらます奴など、恋人でもなんでもない。」
「…まぁ、体に聞くさ。」

キッドの拗ねた、けれど意地悪な答えに、俺はキッドの体に手を這わせた。
この日、俺はようやく"キッド"と、"永劫"に向き合った。

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