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第一段。

レツゴ、豪烈で 「壊す」
この二人の場合、兄弟の壁を壊す、という内容になるかと。
大丈夫な方は「つづき」よりどうぞ。


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

壊す(豪烈)


「なぁ、烈兄貴ー」

背後からぺたり、とくっついてくる甘えたな態度。
烈はこの、豪の何時までたっても抜けない、兄べったりな態度が嫌いじゃない。
それこそ小学生だった頃は、ほかの兄弟と同じように、
反発も多かったし、ケンカも多かった。
けれど、何時頃からか、豪は、烈に素直に甘えるようになった。
今でもケンカが無いわけではないが、昔に比べれば減った。
その代わりにスキンシップが増えたように思う。

「な、兄貴聞いてる?」

ふと過去を振り返ってしまっていた分、豪への返事が遅れた。
再度、豪から問われて烈は呼んでいた雑誌から視線を上げた。

「悪い。ちゃんと聞いてるよ。」

ソファ越しに抱きしめられている体を、ゆっくりと反転させて、
烈は豪に振り返った。
そして、ドキリと鼓動が高まり、動きが止まる。

(…ちょっと、近すぎないか?)

異様に近くに豪がいる。
それこそ、鼻先が触れ合いそうなほどの距離。
さり気なく体を離そうとするが、豪にホールドされた体は動きそうにない。

悔しいが、成長期に烈の倍は成長したであろう豪との体格差は歴然で、
力では敵わない。
どちらかと言えば、両親に似て精悍な顔立ちの豪と、
隔世遺伝か、両親よりは父方の祖父母に似た烈の柔和な顔。
「可愛い」とか「綺麗」と表現される顔を、烈はあまり好いては居なかった。
その点、豪の事が羨ましい。
烈が理想とする顔立ちに近いのだ。

その、理想の顔立ちが間近にある。
ドキドキと、わけも無く鼓動が早くなる。

「なぁ兄貴、兄貴の手、見せて?」
「…手?」

動揺を何とか隠し、烈は近すぎて焦点の合いにくい豪の顔を見ようと、
頑張って距離を取ろうとするが、それより先に、豪に左手を持ち上げられる。

豪の、節くれだった大きな、男らしい手が、
烈の目の前で烈の手をにぎにぎと握る。
背後から抱きしめられたままの、この近すぎる距離に、烈の動揺は止まらない。

「な…なんだよ、突然。」
「いや、烈兄貴の手って綺麗だなーって思って、さ。」
「はぁ?何、突然。」

訳が分からない。
とにかく、烈は居心地が悪くて仕方ない。
この近すぎる豪との距離も、左手を豪に握られて、指を絡められることも。

「豪…とりあえず、一回はなれ…っ?!」

言葉に出そうとして、烈は大きく身を震わせた。
豪が、捕らえた烈の指を食んだのだ。
ゆっくりと、舌が烈の指を舐め上げる。
そのリアルな、ぬめる熱さに、咄嗟に手を引こうとするが、それは敵わない。

濡れたような音が室内に響き、烈の思考が完全に停止した。

(…何…なんだよ…これ……)

混乱する頭で考えるが、その考えは取り止めもなく、
ただ、豪の行為を甘んじて受けるにとどまる。

その間に豪の行動はさらにエスカレートしていき、
指一本一本を丁寧に舐めていく。
そのうち、指を辿る唾液が、烈の手の甲を、手首を汚していく。

「豪…っ!」
「…いや?」
「っていうか…可笑しいだろ?!」
「なにが。」

しれっと言い返す豪に、烈の心拍数は上がりっぱなしだ。

「俺、ずっと兄貴が好きだった。
なぁ、兄貴を俺のものにして、良い?」
「お前…何言って…?」
「今日、俺らだけなの知ってる?」

確かに、今日両親は町内会の旅行に出かけてしまっている。
高校生にもなって、両親が居なければ何もできない、という事はなく、
烈も豪も、快く二人を送り出したばかり。

そう、それは分かっているのだが。
だからといって、この急展開はどうなのか。

「豪、少し、話をしないか?」
「ダメ。俺もう、我慢も無理っぽいから。」

左手は捕らえられたまま、豪の吐息が、唇が、烈のうなじに触れた。
瞬間的に震える、烈の細い肩。

「いやだったら、俺を止めて。
そうでないなら、俺を受け入れて。」
「そんな、急に……俺達は兄弟だし…」
「うん。知ってる。だから、俺がそれを壊す。」

その言葉を最後に、豪は烈の体を暴いていった。
烈も、何かをぐるぐると考えている間に、面倒くさくなり、
そのまま受け入れてしまった。

そう、この暴挙とも取れる豪の行為を受け入れられるほどに、
烈もまた、豪の事が好きだったのだ。

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