僕はたまに思うんだ。
もしかして、少女趣味なんじゃないかって。
幼女趣味って事じゃないぞ。(だって僕だってまだ12歳な訳だし。)
ただ、かわいくて、ふわふわしたものが好きなんだ。
いやいや、もちろんミニ四駆だって好きだし、
何よりソニックは一番好き。
なんだけど…。
甘くて黄色い、ふわふわの卵焼きが好きだったり、
ミッキーマウスのお気に入りというクマのぬいぐるみ"ダッフィー"が好きだったり、
あと、たんぽぽの綿毛も好きだったりする。
ふわふわしたものが好きなのかもしれない、と気づいたのはつい最近。
本当に、どうして気づいちゃったんだろう。
僕はふっと溜息をついて、隣を歩くNAアストロレンジャーズのリーダー、
ブレット・アスティアをそっと見上げた。
同じ12歳のはずなのに、彼は僕よりうんと身長が高い。
…まぁ僕が極端に低いだけなのかも知れないけど。
顔も、美形に分類されると思う。
オマケに頭まで良い。
飛び級でMITを卒業しちゃってる超天才・エリート様。
さらにさらに、将来は宇宙に飛び立とうという大きな夢と野望を抱えた男。
僕から見たら、何から何まで男らしくて羨ましい。
ただ一つの欠点を除けば、だけど。
「どうしたレツ?オレに見惚れて?」
悪戯っぽく笑って、僕の視線に気づいたブレットは茶化してくる。
ついでに長い腕が伸びて、タコのように僕の腰にまとわりつく。
「…っちょっと!人が来るかも知れないだろ?!
もしこんなところ、誰かに見られたら…っ」
焦って周囲を見渡して、腕から逃れようとするのをブレットは可笑しそうに、
でも腕はしっかりと僕の腰に巻きつけて余裕綽々に続けた。
「見たいなら、見せてやれば良い。
レツがオレのモノだって周囲に知れれば、悪い虫も寄らなくなる。丁度良いさ。」
そう。僕がブレットの唯一の欠点だと思うところ。
それは何故か、僕に友達以上の好意を寄せて、過剰なスキンシップを計るところ。
「もぅ!いちいち君はくっつきすぎなんだよ!」
「これくらいのスキンシップ、オレの国では当たり前だ。」
「へぇえ…アメリカじゃ、男同士でも"挨拶"って言って唇にキスするんだ?」
「Sure.」
「…じゃあ、今度僕の目の前でエッジ君にもキスしてよね!」
「…Sorry、レツ。今のは冗談だ。」
巻きついた腕に力を込めて、顔を近づけてくるブレットを押し返しながら必死の応酬。
力じゃ敵わないんだ。口ではせめて勝ちたい。
(相手は天才だから、割と丸め込まれちゃうけど…)
詫びれる様子もなく、にこにことブレットは僕を放そうとしない。
あぁもう。
僕だけが振り回されて。余裕綽々の君の態度がひどく悔しいのに。
ダメなんだ。どうしてもキライになれない。
自信たっぷり、クールな性格もそうだけど。
何よりもその黄色で、ふわふわとした君のその髪型が!
まるでヒヨコみたいで、憎めない!!
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