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宗たんで、第4話、三成救出戦をクリアしたときの小咄。

ネタバレには一切考慮しておりません。
プレイしながら悶えたネタ。

つーか、ね。三成との何とか作ろうとしてくだすった
K○EI様に拍手喝采。
いろいろ詰め込みすぎました。

「つづき」よりどうぞ。


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

三成救出戦


(ちっ!全く、無駄に広い屋敷じゃな!)

政宗は愛用の倭刀万丈を振るい、群がる足軽を薙ぎ払いながら、三成邸を疾走していた。
室内で騎乗は出来ず、ただ己の足で走る。

(武器選択を誤ったわ!瀛洲を携帯すべきじゃった。)

只でさえ具足で重い体に、攻撃力重視の万丈では、
政宗の持ち味であるスピードがまったく活かされない。

「早く三成を見つけなければならぬ。」

只でさえ、ほかの武将よりも体力が劣る政宗。
戦が長引けば長引くだけ振りだった。

「政宗様!この先にて直江兼続殿が苦戦でございます。」
「なんじゃと?良い、捨てお…
いや……兼続には、小田原での借りがある。
ここで返さぬは奥州、独眼龍・政宗の名折れじゃ。すぐに救援に向かおう。」

重たい具足を引きずるように、政宗は兼続の元へと駆けつけ、
その勢いのまま敵武将を一人、二人と倒していく。

「小田原での借り、これで返したぞ兼続。」
「山犬に貸した覚えなど無いが…礼は言っておこう。政宗、助かった。」
「フン。お前にしては殊勝な事じゃ。
ほれ、団子を2本ばかり食っておけ。もう助けはせんぞ。」

いつも通りと言えば、いつも通りのやり取りに、政宗は鼻で笑って先へと進んだ。
そろそろ、三成を害さんと挙兵した加藤清正や福島正則が動くはずだ。
早く三成を探さなければ、と入り組んだ屋敷内を右へ左へ、移動する。

「政宗様、徳川家康公が参陣なさった様子!」
「何?!家康が…何ゆえじゃ…?」
「そして、さっそく敵に包囲され、苦戦中とのこと。」
「ちぃっ!家康が亡くなば、此度の戦は負けよ!案内せぃ!」
「はっ!」

再び訪れた足軽に案内され、家康の下まで急ぐ。
敵から攻撃される分には痛くもかゆくも無い。
が、この移動が堪える。

「家康公!ここはこの政宗にお任せあれ!」

家康の姿を見つけ、家康を囲んでいた敵将に斬りつけた。

「おぉ!伊達政宗!!助かった。」
「家康公、危ないから下がっていてくだされ。」
「いや、そうもいかん。ワシは秀吉殿より泰平の世を継ぐよう、託された。
それに、三成殿直々の救援要請とあらば、この家康断るわけにもいかぬ。」
「…三成が?」

あの三成が、家康に頼み事など、と一瞬勘繰るが、
それどころではない。すでに家康は息が上がっている。
とにかく、家康の体力を回復させないとならないが。
生憎団子は先ほどすべて兼続に渡してしまった。

(しまった、携帯袋の中身も間違えたようじゃ…団子も大飯もない…)

しかたない、と政宗は家康に群がる足軽も蹴散らす。
これで暫くは持つだろう。

「政宗様!石田三成殿が見つかった様子!
加藤清正と福島正則が三成討伐に向かっている模様。」
「次から次へと…。
三成が清正と正則に見つかると不味い。先に合流せねば…。案内いたせ!」

政宗は息も絶え絶えに、福島正則、加藤清正と次々に倒した。
正則の馬鹿さ加減に呆れもしたが、そういう馬鹿を政宗も知っていた。

「政宗様!家康公が…!」
「えぇいどいつもこいつも!!あの狸は大人しくしておればよいものを!!」

政宗はせっかく三成まであと少し、という場所まで来ていながら、
もと来た道を戻った。

「さすが、奥州の王よ」
(そんな世辞などいらぬわ馬鹿め!大人しくしておれ狸じじぃ)

再び三成の下へ急ぐ。
もう体力も気力も限界だった。

(早く…早く三成と合流して終わらせよう…)

ぐったりしながら三成を見つける。

「伊達…政宗…俺を助けてくれるのか?」
「フン。貴様には俺の成す事を見届けさせねばならぬからな!」
「…わかった。お前を嫁に貰ってやる。」
「はぁっ?!」

体力も気力も奪われ、早く三成を救出してこの屋敷を脱出したかった。
三成が何を言っているのかも分からない。
仮にも奥州一体を統べる大名の政宗を、何がどういった理由で嫁に貰うなどとなるのか。
政宗は三成を救出すべきかどうか迷った。

「おっ!殿。ここにいたんですか。政宗サンも。
…で、政宗サンはなんで固まってるんです?」
「あぁ左近。俺が政宗の求婚に答えたところだ。」
「…へぇ。政宗さん…?」

長く仕えているためか、左近には三成がとんでもない勘違いや
ぶっとんだ発想をしていることが予想できた。

「左近…通訳いたせ。わしにはもう理解が及ばん。」
「まぁ、殿のことですからねぇ。何があったか放してもらえますか?」
「わしは只…」
「だから、政宗が求婚をしてきたのだ。」
「殿は黙っててくださいね。」

左近は近づいてきた足軽を軽く払って、政宗に続きを促した。

「いや、わしは只、"わしの成すべきことを見届けさせねばならぬ"と。」

困ったように政宗は視線を泳がせ、左近を見上げた。
そして、あぁ、と得心がいったように頷いたあと、(精神的に)疲れきってぐったりしている政宗の、
額に張り付いた髪をそっと掻き上げた。

「たぶん、うちの殿は、"見届けさせる" → "側にいる" → "結婚する"って事に
脳内変換されてるんでしょうな。」
「…馬鹿は理解できぬ。」
「何を言ってる、左近、政宗は俺の妻になるんだ。軽々しく触れるな。」
「はいはい、まずはここを脱出しますよ、殿。」

政宗の深い深い溜息と、三成の言葉に左近は政宗に同情した。
頑固な三成のことだ。一度政宗を妻にすると決めたら、梃子でも動かないだろう。
もともと政宗の事を気に入っていた三成だ。
勘違いとは言え、"政宗から求婚された"と思い込んでいるから、二度と手放すまい。
脱出後の政宗の受難を思い、左近は兜の上から政宗の頭をそっとなでた。

政宗は、以降、倭刀瀛洲・携帯袋は壱番を持つようにしたという。
もちろん、三成には近づかないようにした、が。
三成からの輿入れ催促の文が矢のように届いたという。

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