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日々の徒然や妄想など
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最近、どっぷり戦国無双だなぁ。
というか、宗たんにムネムネしよるなぁ。という今日この頃。

クリスマスとか、世間一般の行事も無視して、無双ばかり。

そんな感じで、無双、宗たんアイドルの、
三+幸 → 政的なギャグ話。
「つづき」よりどうぞ。

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

能力値


「政宗殿、そろそろ、機嫌を直していただけませんか?」

せっかく、上田城で二人きりだというのに、政宗は不機嫌そうに顔を顰めたまま。
ここにはまだ三成や兼続が滞在している。
いつ邪魔が入るとも知れないのに、政宗との会話が弾まない現状に、気ばかりが急く。

「さぁ、茶菓子もありますゆえ。」

お茶と、政宗の好む甘味を差し出してみるが、
むぅっと眉を寄せたまま、そのまだあどけなさが見え隠れする秀麗な顔を顰めるばかり。

「……納得いかぬわ……」
「…え?」

ようやく、口をひらいたかと思えば、納得が行かないとはどういう事か。
何か自分は粗相をしでかしたであろうか、と幸村は政宗を見つめる。

流石に城の中だけあって、兜はかぶっていない。
しかも、つい先立て、徳川軍を退けたばかりであるため、鎧すら身に着けていない。
着流しに羽織という姿で、政宗は胡坐をかいて座っていた。
右目には眼帯が付けられているものの、他は至って落ち着いた姿。

(このような姿も愛くるしい…)

と、頭のネジが二、三本すっとんだようなことを考えているとは、
おくびにも出さないが。

そんな幸村をどう解釈したのか、政宗は忌々しげに舌打ちをした。
出された茶を引っ手繰ると、口をつけようとして、はっと気づき、
その薄緑の綺麗な水面にふぅふぅと吐息を吹きかけ始めた。
政宗は猫舌だった。

(…政宗殿…なんとお可愛らしい!!
わたしの人生の中で、このように愛くるしい生き物に出会ったのは初めてだ。)

膝の上で握り締めた拳が感激と感動でぶるぶると打ち震える。
気を抜けば政宗を抱きしめてしまいそうで、幸村はぐっと下唇を噛締めた。

「…解せぬわ。何故わしが、攻撃力も防御力も体力も、幸村より低いのじゃ。」
「はぃ?」
「れべる、が、50になっても、馬術と敏捷性以外はお前に負けておるのじゃ!!」

幸村の間の抜けた相槌に、ついに政宗は感情を爆発させた。

「体格の違いもある。
だから、かなり譲って、体力が劣っていることは致し方ないことじゃ。
じゃが、槍と、筒ぞ?わしの方が攻撃力が高いはずじゃろう!」

解せぬ。ともう一度力強く告げ、政宗はようやく茶をすすった。
それも、おそるおそる。

「政宗殿、もしや、そのような事でずっと機嫌が悪かったのでしょうか?」
「"そのような"とはなんじゃ!死活問題じゃ!」
「…政宗殿…」

はぁ、と溜息をつくのと同じく頭を垂れた幸村の背後に、
黒い何かが見えたような気がして政宗は数度瞬いた。
けれど、その黒い何かはもう消えていたため、気のせい、で片付けざるを得なかった。
そして俯いた幸村は、顔を上げると同時にとても良い笑顔で政宗の名を呼んだ。

「政宗殿。」
「なんじゃ。」

未だ不機嫌の治らない政宗は、茶菓子をつまむと、ぱくっと食べ始めた。
政宗の好きな、こしあんの練りきり。
色づく紅葉に模られた茶菓子は、目に見ても美味だ。

「政宗殿の機嫌が悪いのは、この幸村に粗相があったため、と思っておりましたが。
すていたす、の事でお悩みであっただけなのですね。」
「"だけ"とはなんじゃ。わしにとっては死活問題じゃと言っておろうが、馬鹿め!」

このとき、幸村の目が据わっていることに気づいたならば、
政宗は天地がひっくり返るような体勢にされることもなかったのだが、
いかんせん、腹が立ちすぎていたことと、まさかこの真田幸村に限って、
そのような無礼な行動はすまい、と油断していた。

突然の出来事に、政宗は不機嫌も忘れて、きつねにつままれたような顔をしていた。

「ゆ…ゆき…?」
「政宗殿は、わたしよりも体力・防御力・攻撃力が低いのでしたね。
だから、抵抗しても無駄ですよ?」
「は?…話が読めぬ。」

両手首をがっちりと押さえ込まれ、確かにちょっとやそっと、抵抗したくらいでは外れそうにない。
幸村の顔が、ゆっくりと政宗の顔に重なる。

「ちょ…っ…?!ゆき…!!」

流石に事態を理解した政宗は、必死に抵抗する。
が、叶うはずも無く。あわや散らされてしまうのか、と考えが及んだとき、
すらりと部屋の障子が開いた。

「何をやっている。」
「…三成殿…」
「治部少!」

三成からは、助かったといわんばかりに顔色が良くなる政宗と、
舌打りせんばかりの幸村が対照的に見えた。

「何をもめて、そのような小動物がじゃれあうような喧嘩になったのだ。」

いつもの政宗であったなら、『龍を捕まえて何が小動物じゃ!』と怒り狂ったかもしれないが、
今回ばかりは慌てて幸村の下から這い出して、三成の着物の裾を掴み、その背後に隠れた。

「別に。ただ、すていたす、について政宗殿がお怒りのようなので。
その怒りと解こうとしていたまでです。」

政宗との時間を邪魔された幸村は、言葉こそ丁寧だが、
その態度や口調は、彼にしては珍しくトゲトゲとしていた。

「ふむ。すていたす、か。」
「そういえば、三成殿も、体力・攻撃力・防御力、ともに政宗殿よりもお高いのでは?」
「なにっ?!」
「知力も、だ。」
「なんじゃとっ??!」

流石に"知力"は馬鹿にされている、と気づいた政宗。

「…お主ら二人して、わしを侮辱するか!」
「侮辱などとんでもない。わたしは只、事実を述べたまで。」
「えぇい!黙れ!!意地悪じゃ!!幸村はわしに意地悪をしておる。」

幸村のとどめの一言に、政宗はまるで駄々っ子のように怒り狂った。
そして、三成にとんでもないことを言い出した。

「こうなったら…治部少!わしに三百万石よこせ!!」
「三百万石だと?寝言は寝てからいったらどうだ。」
「寝言ではないわ、馬鹿め!わしは本気じゃ!!」
「三百万石で何をする。」
「きまっておる!"能力値限界突破"じゃ!
これでお主ら二人をぎゃふんと言わせねば、わしの気がすまぬ。」

掴んでいた着物の裾をそのまま引っ張り、
政宗は高い位置にある三成の顔を覗き込んだ。

「三百万石を、ほいほいと与えられるわけないだろう。」
「いや、治部少にならばできるじゃろう。秀頼殿に、取り成してくれればよい。」
「政宗…」
「三百万石くれたなら、お前の望みを一つかなえてやるぞ、三成?」
『なっ?!』

最後の驚きの声には、幸村のものも含まれた。

「何を言っておられるのですか政宗殿!!そのような事、この幸村が許しません!」
「えぇい黙っておれ幸村。わしは今、三成と話をしておる。」

意識的に、三成の呼び方まで変えて、完全にこの人は自分の魅力を理解している、と
幸村は思わざるを得ない。
政宗に何でも一つ、言う事を聞かせられるのであれば、
だれでも政宗の"わがまま"や"願い"を聞き入れてしまうのではないだろうか。

「のぅ、三成…。わしの頼みを聞いてはもらえぬか?」

意識してなのか無意識なのか、政宗は三成に擦り寄った。
上目遣いで、体まで寄せてくる政宗に、三成は硬直したまま、耳まで赤くしている。

「…その言葉、まことであろうな?」
「わしは、嘘は言わぬ。」

見つめ、見つめ返し、三成と政宗は暫し見つめ合った。

「……わかった。三百万石、用意しよう。」
「三成!!」

ぱっと花が咲くように明るくなり、政宗は三成に抱きついた。

「礼を言うぞ。大好きじゃ、三成。」

幸村は、計算高い奥州の龍を、その目の前で見た気がした。
結局は己もその毒牙にかかっているのであるが、
理解していながらも、それでも政宗が欲しくて仕方ないのだから、始末がわるい。


後日、無事に限界突破しご機嫌な政宗と、
魂の抜けたような三成を見かけるのだが、幸村が三成に声を掛けることはなかったという。
政宗との二人きりの時間を邪魔されたあげく、
三百万石で政宗の自由を奪った男、として認識されていたからだ。

実際、化かし合いに長けた政宗が、ほぼ無条件で三百万石を手に居れ、
能力値限界突破したのである。

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