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風魔 小太郎 vs 伊達 政宗
「でやぁぁっ！」
豪快な掛け声と供に、政宗は愛刀で敵を薙ぎ払い、銃を乱射する。
群がっていた敵も随分と数が減り、少々物足りなさを感じ始めた頃、
物見が政宗の元までやって来た。
「風魔小太郎が出現しました！」
「ふっ！丁度良いわ！物足りなく思っておったところじゃ！軽く遊んでやろう。」
政宗は指笛で愛馬を呼ぶと、ひらりと跨りその腹を力強く蹴った。
軽い嘶きとともに馬が疾走する。
強い敵と戦うことは好きだ。
城の中で政を行うことも好きだが、元来政宗は体を動かしている方が向いている。
戦乱の世は多く人を傷つける。
泰平の世が良いに決まっている。けれど、この躍る心はどうしようもない。
そして、馬を駆けさせると、前方に目的の人物を見つけた。
同時に相手も気づいたようだ。
赤い髪に不思議な色の肌、高い上背からひどく妖艶に笑む、忍。
政宗も不敵に笑む。
小太郎の唇が、ゆっくりと釣りあがった。
「ふっ…うぬを、壊してやろう。」
低く、腰に痺れるような感覚を与える美声と、これから始まる戦いに、
政宗は軽く身震いした。
「上等じゃ！受けてた… 『まったーーーーーーー！！！！』 」
馬から降り、抜刀したところで、政宗の視界は完全に塞がれた。
「？？？」
「政宗殿に何をしようとしている！」
「政宗を"壊す"程に愛するのはこの俺だ。」
「山犬と言えど、壊されては困るのでな！」
「…貴様ら一体どこから沸いたのじゃーーーーー！！！」
政宗の絶叫がこだました。
その政宗を庇うように立ちふさがるのは、
真田幸村
石田三成
直江兼続
の、恋愛好敵手達であった。
今回の戦は、武田も、豊臣も、上杉も関係ないはず。
なぜこの三人が、と頭をひねざるを得ない。
「…別に、俺は政宗"を"壊したいわけではないが。
立ちふさがる敵はすべて、屠るまでだ…。」
虚を突かれたが、構えなおす小太郎。
そしていっせいに襲い掛かる幸村、三成、兼続。
「お…おぃ…おぬしら…」
いくらなんでも卑怯なのでは、と思うが、血気盛んな三人は止まらない。
三人に囲まれ防戦一方の小太郎。
やめよ、と声を張っても、背後から撃ってみても変わらぬ状況に、
政宗は遂に小太郎側についた。
「人の話を聞けぇい、この三馬鹿者どもめ！」
小太郎と、三人の間に入り、一人ずつ数回きりつけたあと、
銃を両手に構え、八方に発射し、吹っ飛ばした。
その様子を見て、喉の奥でくっと笑う小太郎。
「政宗は良い子だな。」
「…おぬしも少し黙るか？馬鹿め。」
せっかくの戦いに水を差されてしまった、とひどく立腹の政宗は、
そのまま馬に跨り、別の敵将の下へ駆け出そうとする。
「そこの三人はおぬしの好きにせよ。
また、どこぞで仕合おうぞ、小太郎。」
「ふっ…うぬが混沌を望むのであれば、また、殺し合うことになる…。」
「楽しみじゃ。」
不敵に笑む二人。
政宗は一瞬、小太郎と視線を交わすと、馬の腹を蹴り走り去っていった。
『ま…政宗…（殿）』
地面に伏し、残された三人は走り去る政宗の後ろ姿を名残惜しそうに見つめていた。
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