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ありえねぇ!
「ありえねぇだろ実際!」
「何がだ…。」
もうなんどこの問答を繰り返したろうか。
キッドはかるく溜息をつき、鼻息荒いソウルを剣呑な表情で見つめた。
いくらなんでも、10分も同じ問答を繰り返していれば、
苛ついてもくる。
「いや、だからだな!お前事の重要性がわかってんのか?」
「内容を話してみろ。中身が分からなければ、重要性も何も、わかったもんじゃない。」
戯けが、と続け、遂にキッドはソファから立ち上がった。
「もういい。だんだん頭が痛くなってきた。」
「待ってくれ!」
立ち上がった肩をソウルに掴まれ、キッドは背後を振り返る。
「お前、俺の気持ちも分かれよ!
せっかくデスサイズになったってのに、会えず終いで年越しかよ!
恋人達が一緒に年を越せないなんて酷いと思うだろ?!」
「…………」
「お前だって、本の中じゃなくて、みんなと新年祝いたいだろ?!」
「…ソウル…」
ふっと寂しそうに笑うキッド。
ソウルはその表情を見てドキリと胸が高鳴る。
(このパターンは…
『では、このままあと30分ほど一緒に居て、年を越そうか?』で、
姫始めのヤツや!!)
※ソウルが壊れ気味
「キッド…」
ゴクリ、と喉をならしソウルはキッドを引き寄せようとした…が
「心配するな。カウントダウンもニューイヤーパーティも、
ノアたちとやる予定だからな。
俺はそろそろいくぞ。待たせては悪い。じゃあな。また来年。」
「えっ…?!ちょ…キッド…?」
ソウルの腕を軽くかわし、キッドはすたすたと歩いていってしまった。
部屋にはソウルだけが残された。
今日はキッドと会えるというので、マカたちとのパーティはキャンセルしたのに。
恋人との甘いひと時を考えていたソウルには大誤算だ。
「気をつけなはれや!」
誰も居ない部屋に、ソウルの悲痛な叫びにも似た一言が響いた。
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