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ようやく夜光蝶の続きをupしました。
内容は陸之巻まで出来ているんですが、htmlコピペするのが、
意外に面倒だったり…ゲフフフン。

檻も続きは出来ているのですが、html装飾+upまで手が出せず。

そんなこんなで妄想垂れ流し。
三+政で、三成が政宗を気に入るお話。
大丈夫な方は「つづき」よりどうぞ。


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

事情


(若いな…)

第一印象は、あまり良くなかった。
夕暮れ時、戦は終わり、三成率いる豊臣軍が、伊達軍に勝利した。
捕縛され、目の前に座る伊達政宗は、憮然とした面持ちでそっぽを向いている。
これで奥州・伊達家を率いる大名と言うのだから、苦笑を禁じえない。
態度があまりにも子供じみている。

(こう、大名であるならばもっと堂々とすれば良いものを。
叱られた子供のように憮然と振舞うとは…)

胸中、嘆息しながら三成は扇をパチリと閉じた。
側に控える左近も、政宗の態度に苦笑している。

「伊達政宗。お前の命はわたしが握っている訳だが…」
「…そんなこと、分かっておるわ。
戦に負け、縄を掛けられまだ己が勝てると思うておる輩などおるまい。」

政宗から返される言葉に、三成は二の句が告げられない。
秀吉はこの政宗の態度をいたく気に入ってるが、三成には全く持って理解できない。
秀吉曰く、『子供のようで可愛い。じゃが、その趣向・心意気はさすが伊達者よ』らしいが。

「子供のようで…というより、子供そのものだ。」
「…殿…」

左近には聞こえたのか、苦笑と供に諌められる。
三成も軽く溜息をついて再び政宗に声を掛けた。

「豊臣軍下に入るならば、命は助けてやる。」
「…天下統一を焦るあまり、下々を省みないお前等に屈すると思うか?」

小憎たらしい。正直にそう思うが、ここで相手の挑発に乗ってしまっては、大人気ない。
三成は気を取り直してあくまで淡々と言葉を続けた。

「お前が降れば、伊達軍の命も助けてやる。そうでないなら、駆逐する。」
「三成。秀吉が小姓ごときに、わしが屈するとでも?
口説きたければ秀吉を連れて来るのじゃな。」

つん、とそっぽを向く政宗。
言葉は大層なものだが、如何せん、態度が子供だ。
安い挑発ばかりで話しにもならない。
三成の困り果てたような溜息が政宗にも伝わったのだろう。
ムッとしながらも、ようやく三成を見据えてきた。

「力で天下を統一できると思うのか?
わしが降らねば駆逐する…とは、信長と同じやり方ではないか。
民を思いやらぬ支配者に、天下は渡さぬ。
殺したくば殺せ。それが豊臣のやり方だと、世に示すが良い。そのような天下、長くは持たぬ。」

政宗の言葉に、三成は目を瞠る。

「ほぉ…」

気付けば、武器にもなる扇を取り出していた。
構えればビクリと身構え、堅く目を閉じる政宗。
三成は、構えた扇を振るい、政宗を捕縛している縄を切った。

「………??」

何が起きたか分からず、そっと瞳を開けてこちらを窺う姿は、
本当にまだ少年で、あどけなく、三成は胸中笑む。

「行け。そこまで大言を吐くのであれば、貴様の道を見せてもらおうではないか。
秀吉様の天下ではなく、貴様が天下を獲るというのであれば、
わたしは全力でお前を排除する。天下を統一するのは、秀吉様だ。」

解放される、という事実に政宗は一瞬怯んだようだが、
すぐに怒りに顔を真っ赤に染める。

「…三成…貴様…わしを愚弄しておるのか?」
「愚弄?とんでもない。まだ同じ土俵にも上がっていない。勘違いするな。」

三成の言葉に政宗は益々怒り狂うが、眼前に愛用の倭刀と銃を放り出され、
すばやく手に取る。

「…覚えておれよ、三成。わしを逃した事、必ず後悔させてやる。」

警戒しながらも、夜の闇に消えていく政宗を見送り、三成は扇を閉じた。

「殿、良いんですか?政宗サンを逃がして。」
「良い。あれがどういう風に育つか、見てみたくなった。
お前は見てみたいとは思わぬか?龍が成長する姿を。」
「…まぁ、見たい気はしますが、わざわざ強敵になりそうな敵を逃がすなんて、
殿もモノ好きですねぇ」

のんびりと顎をかきながら告げる左近に、三成は笑って返した。

「ふっ…逃さねば、捕まえられぬではないか。
アレが大人しく殺される筈がない。従順になる訳もなかろう。
追いかけるのも、暇つぶしにはなる。」

三成の言葉に、左近はやれやれと溜息を吐く。

「政宗サンを相当気に入ったようですねぇ、殿。」

秀吉の世を磐石にするために、すべき仕事は山ほどある。
潰せる暇などもとより無い。
これから各地を平定して回るのにまだ戦も続くだろう。
それなのに、奥州に火種を残してしまうとは、なんとも物好きだ、と左近は呟いた。

「ま、お手伝いしますよ、殿。
今はまだ、じゃじゃ馬で子供の伊達政宗が、立派に起つその姿を見たいんでしょう?」

左近の言葉に、三成は柔らかく笑んだ。
殺すにはあまりにも歳若く、惜しい人物だ。
それに、簡単に手に入ったのではつまらない。
政宗の理想や信念を貫くその姿も見てみたかった。
後顧の憂いになるかも知れなかったが、三成は今とても満たされた気分で居た。

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