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煙草で三話、最終の幸政です。
兼続とのやりとりの後、になります。

時系列でみると来るもの拒まず状態になってる政宗…。
うぅん…どうなんだろう。

そんなこんなで、幸政です。
大丈夫な方は「つづき」よりどうぞ。


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

煙草(幸政)


「見事な煙管ですね。」

声をかけられ見上げれば、人好きのする笑顔を浮かべた幸村が立っていた。
部屋から、煙管を銜えたまま庭に出て、ぼんやりとしてしまっていたせいか、
気配に気づくことすら出来なかった。
飛び石の上に屈み、植えられた見事な松の根元、
その根の張り具合を見ていたのだが、何時の間に背後に立たれたのだろう。

政宗は内心の驚きを隠しつつ、ゆっくりと立ち上がると、
銜えていた煙管を持ち、ふぅっと煙を吐き出した。

「素晴しい細工じゃろう?」

褒められた煙管を幸村に良く見えるように、近くに差し出す。
政宗にとっても気に入っている、自慢の一品だ。
黒檀の羅宇に、金の吸い口、雁首は一目で政宗を虜にした。
少々値も張ったが、やはり気に入った煙管で喫う煙草の味は格別だ。
雁首、吸い口に施された彫刻も細かで丁寧なものだ。

喫ってみるか、と幸村に差し出せばやんわりと断られる。

「薬、とも言われておりますが、わたしにはどうにも毒気が強い気がして。」
「…わしは落ち着くように感じるが…まぁ無理には勧めぬ。」

差し出した煙管を引き戻し、吸い口に口を当てようとしたとき、
幸村の腕がすっと伸びて、政宗の肩を掴む。

「幸村?」

肩をつかまれたまま、強く押され、政宗の体は松の幹に押し付けられた。
強く押されたとは言っても、痛みを感じるほどでもない。
ただ、幸村の行動に訳が分からず、政宗は軽く眉をしかめた。

「…なんの心算じゃ?」

問えば、今度は幸村の顔が近づいてきた。
何かを告げる間もなく、視界一杯に幸村の髪の色と、緋色が飛び込んでくる。

「…っ!!!」

口吸いをされているのだ、と気づいたときには、既に幸村は離れていて、
政宗は呆然と立ち尽くした。

「やはり、少々苦い…ですね…。」
「…な…なっ…?!」

ようやく状況を理解し、政宗は慌てて袂で口を隠す。
三成や兼続であればいざ知らず。
まさか幸村にまで口吸いを赦すことになろうとは、想像すらしていなかった。

「政宗殿の唇は甘いはずなんですが。煙草のせいで苦くなってしまっている。」
「…あっ…甘いっ?!」

幸村の言葉に、政宗は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

「わたしは、煙草は無いほうが好き、ですね。」

言いながら、幸村は再び政宗の唇を吸う。
今度は少し長めに、角度を変えて何度も。

「ふ…っ……ぅ……」

長い口付けの合間、何とか呼吸をしようとするが、些か酸欠気味の体からはどんどん力が抜けていき、
松の幹に身を預けると同時に、幸村の着物に縋り、深い皺を刻んだ。

「だいぶ、政宗殿の味にもどりましたね。」
「……幸村……おぬしっ!」
「わたしは、煙草は嫌いではありませんが…無いほうが好き、です。」
「一体、何の話じゃ!」

突然の幸村の行動に、一方的に翻弄されるばかりで、政宗は恥ずかしさも手伝って
ついつい怒鳴ってしまう。

「三成殿に煙草の飲み方を教わった事も、少々妬けます。
政宗殿のそのお姿がとても絵になっていることも。」
「???」

一体何を言おうとしているのか、政宗には良く分からない。
褒められている、ようには聞き取れるのだが、
間近で見る幸村の笑顔に、そういった感じは受け取れない。

「煙草を喫われるたび、
三成殿を思い出していらっしゃるようにお見受けするので、それが厭なのです。
煙草、止めていただけませんか?
口寂しいと仰るなら、わたしがいつでもその溝を埋めて差し上げます。」

いいながら、再度唇を寄せてきた幸村に、政宗は慌てて抵抗する。
ようやく幸村の言いたいことに合点がいったのと同時に、一気に恥ずかしさがこみ上げてくる。

「…や…やめよ幸村!…そもそも、なんじゃわしが甘いとか苦いとか…っ!
甘いなどと知っておるはずない!!今回がは…初めてではないか!」

松の幹と、幸村の腕の間で精一杯抵抗を試みるが、その腕も顎も、なんなく幸村に捕らえられる。

「すみません。実は、同じ陣中に宿営させていただいた折、
耐え切れずに数度、口吸いを…」
「なんじゃと?!」

悪びれる様子も無く言い放つ幸村に、政宗は脱力するしかない。
まず、気配を感じる事ができない、あまつさえ唇を奪われても眠りこけて気づかない、
己の危機管理能力の無さに愕然とする。
その様子を見て、幸村は小さく苦笑した。

「政宗殿は、酒に酔っていらっしゃいましたから…
お気づきになられないのも致し方ないことかも知れません。」
「馬鹿め!それにしたって、敵前であったならこの首あっという間に掻っ切られておるわ!」

もう情けないやらなにやら、さまざまな感情に一度に支配され、
政宗は赤くなったり青くなったり、一人百面相をしているようだ。
幸村は、そんな政宗が益々愛おしくなり、ついに腕の中に囲ってしまった。

「政宗殿、お慕いしております。」
「何を突然…!時と場所を考えよ、馬鹿め!」

暴れてもびくともしない腕に、暫くもがいてみたが、政宗は遂に諦めて、体から力を抜いた。

「…もう良い。して、幸村。おぬし、わしに煙草を止めよと。そう申すのか。」
「はい。」
「全く、世話焼きじゃの、おぬし。」

呆れて溜息をつけば、再び振ってくる、幸村の唇。
気づけば、気に入っている煙管も、手の平からすり抜けて、いつの間にか松の根元に落ちてしまっていた。

「世話焼きなのではありませんよ。
独占欲が強いのです。政宗殿、貴方をわたしだけのものにしたい、ただ、それだけなんです。」

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