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日々の徒然や妄想など
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SE、マカキド妄想です。
恐怖する心を勇気に変える、マカの強さにあこがれるキッドと、
職人としての才能に満ち溢れる(だって死神だしね)キッドに嫉妬するマカ。
ところによりソウルが絡むかもしれない。

大丈夫な方は続きよりどうぞ。
(7/18 加筆修正しました)


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

羨望、それは一種の嫉妬


半月状の講義室。真ん中より上段に座るマカ。
その隣には、ソウル。
ソウルの隣にはキッド、そしてトンプソン姉妹が座る。
ブラックスターと椿はマカたちの右斜め上の段が定着しつつある。

マカは生真面目に魂学の本を読みながら、その実内容は頭に入っていなかった。
ただ活字の羅列を視線で追うだけ。
頭の中は、『アヌビスを倒した少年』つまり、キッドの事で一杯だった。

類稀なる才能。一人の職人が二つの武器を持つという器用さ。
何より、彼自身が死神であるという、潜在的ポテンシャルの差。
そして、自ら鍛えている武器、ソウルもキッドに惹かれている。
どうあがいても埋めることの出来ない力の差に、マカはヤキモキする。

自分に至らない点が多々ある事は承知の上だ。
でも、クラスの誰よりも優等生で、一流の鎌職人である母のようになりたいと、
ずっと努力も続けている。
それなのに、その努力をいとも容易く凌駕するのだ、キッドは。

悔しくて、右の親指の爪をキリっと噛めば、ソウルが気付いて手を取られる。

「どうかしたのかよ、マカ?」
「ソウル…いや…なんでもない。」
「そっかぁ?」

マカは、まだ少しいぶかしいんでいるソウルの先、キッドに視線を投げた。
周囲からは極力自然に見えるに注意を払って、キッドを観察する。
ソウルが何かを言っていたが、耳に入ってこなかった。

漆黒の髪、体にぴたりとあったスーツ、シンメトリーを愛する彼が選びぬいた、
シンメトリーになる装飾具たち。
黙って立っていれば、絵画から抜け出たような少年なのだ。
この死神様の息子、デス・ザ・キッドは。

美しい女性を喩えるためにある言葉だが、
『立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花』という言葉がまさにぴったり当てはまる。

マカはキッドから視線を外し、溜息をつく。

(…敵わないのかなぁ…キッドくんには…アヌビスだって三ツ星職人の仕事だった。
今のアタシには全然届かない…。)

机に肘を付き、その付いた肘の先、手の平に顎を乗せる。
見方によっては不貞腐れて見えても仕方ない。

マカの溜息に気付いたのか、キッドとトンプソン姉妹も声を掛けてきた。

「どうしたんだ、マカ。元気がないようだが?」
「なんだよ~恋煩いか、マカ?」
「恋煩い恋煩い!恋は辛い…?」
「んー…パティにしちゃ上出来かな。」
「でへへへー☆褒められちった。」

パティの頭を撫でるリズを視線だけで確認して、キッドはマカに向き直る。

その瞳は、中心に向かって金の色合いが濃くなる。
綺麗な琥珀色。
まるで夜明けと日暮れが同居するような、太陽のような瞳。
暫く無言でマカとキッドの視線が絡んだ。

間に立たされたソウルは一瞬どうしたものか、と考え込んで、
それからそっとフェードアウトする道を選んだようだ。
さり気なく席を立ちあがる。

すると、まるでそれが合図だったかのように、マカがキッドに詰め寄った。

「キッドくんは、ずるい。
死神様の息子で、武器職人で、わたし達よりずっと才能がある!」
「…………………」

突然のマカの言葉に、キッドは答えなかった。
まだまだマカには言いたいことがあるように見えたからだ。
マカの言葉を聞けば、ここ最近マカの元気が無かった理由が、分かる気がした。

「どれだけ努力しても、キッド君には追いつけないの…?
それに、キッド君が自分で武器を作っちゃったら、アタシたち職人はどうなっちゃうの?
アタシ…あたし、才能にも恵まれて、誰より強くて、キッド君が羨ましい…っ!」

今にも泣き出しそうな表情で拳を握り、キッドの胸を軽く叩くマカ。
顔を見られないように、俯いて、歯を食いしばっていた。
キッドはそんなマカの手を取り、ゆっくりその甲に口付ける。

「俺の方こそ、マカが羨ましい。」
「…アタシ…?」
「マカ、お前は恐怖という感情を勇気に変えることが出来る。
それは、今後必ず必要となる能力だろう。だが、俺にはそれがない。」
「…え?」

きょとんと、キッドの顔を見上げた。
マカの視線の少し先には、やや困ったような、寂しいような、そんな表情をしたキッドが居た。

「俺は神だから…。恐怖とやらは正直よく分からないんだ。
けれどマカ、お前には恐怖を勇気に変える力がある。俺にはそれが羨ましい。」
「キッドくんが、アタシを…?」

あぁ。と穏やかな笑みを浮かべ、マカの肩を抱く。

「ごめん…。アタシね、多分、キッド君に嫉妬してた。
アタシにないもの、たくさん持ってから。アタシじゃ、とても追いつけないと思ってたから。
でも今話をしてみて…なんだか嬉しくなった…。」

今までモヤモヤしたものが消えてくのが、マカ自身にもよく分かった。

「アタシ達、役に立てる…?」
「もちろんだ。マカたちで無ければ、ダメだ。」
「…うれしい…」

キッドに抱きとめられ、少し気分が凪いだのか、
今度は逆に、マカが思い切りキッドに抱きついた。

「キッド君もあたしの事、羨ましがっていてくれたって知って、嬉しかった!」

ぎゅうっと抱きつくマカに、リズは軽く口笛を鳴らし、パティは「ほよー」と呟く。
黙って事の顛末を見守っていたソウルも静かに言葉を挟んだ。

「あー…マカ。ちょっとくっつきすぎじゃねぇ?」
「うるさいな!たまには良いでしょ。キッド君を独占しても!!」
「満更でもないって顔してるキッドにも腹が立つ…」
「ソウルには分かるまい。マカはシンメトリーなんだぞ!」
「ってスイッチそこかよ!!」

騒ぎ、キッドからマカを引っぺがそうと躍起になるソウルが可笑しくて、
今まで自らの中にあったモヤモヤした感情も吹っ切れて、マカはただ笑った。

マカの中にあった羨望、キッドの中にあった憧れ。
それはどちらも、一種、恋人同士の嫉妬にも似て―――。

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