そんなこんなで、16巻妄想による、
ゴフェル → ノア → キド。
ぼっさま拘束系でございます。
大丈夫な方は「つづき」よりどうぞ。
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
偏愛
「今まで、作り物しかわたしを好いてはくれませんでしたからね。
でも、あなたは違うでしょう、キッド?」
ノアの褐色の手が、キッドの頬を撫でる。
その指に不快感を露わにしながら、キッドは眉を顰め、顔を逸らした。
「戯けが。貴様等馬鹿どもに、俺が付き合うわけなかろう。」
「…何時まで強がっていられるか、見ものですね。」
冷たい視線がキッドを射抜く。
それに負けじと睨み上げるが、拘束されている手は解放されそうもない。
長時間にわたる拘束は、キッドの腕から徐々に力を奪ってゆく。
血液が下がり、腕が痺れてくる。
(くそ…確かに、いかな死神と言えど、血の巡りがとめられるのは不味い…)
そんなキッドの想いを知ってか知らずか、
ノアの手がキッドの頬、髪、額を撫でる。
不気味なその感触に、キッドは更に眉を顰め、身を捻った。
「こら、無駄な抵抗はやめなさい。」
「…んっ…」
人指し指を口腔にねじ込まれ、これでもかというほど睨みあげる。
嫌悪感と不快感に吐きそうになるが、それも赦されない。
指で舌を絡め取られ、頬の内側を撫でられた。
鼻から漏れる息が、己のものとは思えない。否、思いたくない。
「ノアさま…」
「……なんですか、ゴフェル。ここには近づくな、と言ったでしょう?」
「ですが…」
「ゴフェル。」
「…すみません、ノアさま。」
キッドの口腔を侵す指はそのままに、ノアは戸口に立つゴフェルを睨みつけた。
ノアの指からは、キッドの唾液が伝って床に染みを作る。
立ち竦んだまま、唇を噛んで、ギリギリとキッドを睨みつけるゴフェルに、
ノアはふと良いことを思いついた、と言わんばかりに、口角を吊り上げた。
「丁度良い。作り物の貴方に、良いものを見せてあげましょう。」
「良いもの?」
「っ!はぐ…ぅ…」
ノアは、人指し指だけでなく、中指もキッドの口内にねじ込み、舌を摘まんで引き出した。
「作りものには出来ない、表情ですよ。
よく見ておきなさい。」
キッドの背後に回り、空いている方の手でキッドの頬を撫でる。
耳元に唇を寄せ、キッドの耳元に息を吹き込むように、言葉を紡ぐ。
キッドが逃れられないことを良いことに、
好き放題する褐色の手に、キッドの嫌悪感も上限を超えた。
乾いた室内に、ガリっと厭な音が響き、床の染みに赤も混じる。
「いい加減に…っしろっ……貴様ぁ!」
上がった息で、キッドは背後のノアに頭突きを食らわせる。
「…っははは!そう、その表情ですよ、キッド。」
一瞬よろめきはしたものの、すぐに体勢を整えて、ノアは笑った。
噛まれた指を自ら舐め、その血の味を口移しでキッドに与えた。
「っ!!!!」
「ノアさまっ!!!」
キッドの声鳴き悲鳴と、ゴフェルの悲鳴が重なる。
「作り物には到底敵わない。
わたしは、貴方が死神でなくても、コレクトしていたでしょう。
その高潔な魂や表情、仕草が、わたしを酔わせる。」
うっとりとしたその声に、キッドは嫌悪感を、ゴフェルは嫉妬を露わにした。
ノアは嗤う。望みのものを手に入れた、その満足感と共に。
PR