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甲斐姫の葛西大崎一揆
「みんなの日常、アタシが絶対に守ってみせる!!!」
甲斐姫は高々と叫ぶと、ひらりと軍馬に跨り敵将向かって駆け抜ける。
戦場で、一人孤立している父も助けなければならない。
「アタシは、ぜぇったいに負けない!!」
味方とは言え、頼りに出来そうな武将は少ない。
甲斐姫は孤軍奮闘、父を助け、味方と合流させ、と縦横無尽に戦場を駆け抜ける。
そんな中、
「助太刀さんっじょう~」
「くのいち!来てくれたんだ…」
「甲斐殿、遅くなりました。」
「幸村様!」
真田幸村とその忍、くのいちが加勢に加わったのだ。
甲斐姫にとって、これほどに力強いことはない。
「よぉっし!いっくわよ~!!」
刀を握りなおし、再び戦場を駆け抜ける。
しかし、敵もなかなか統率が取れていて、撃破が難しい。
(敵将は、相当な切れ者ね…ただの一揆集なんかじゃない。)
倒しても倒してもわいてくる敵。
その中に、幸村の顔見知りが居たようだ。
幸村の顔が驚愕に見開かれる。
「孫市殿!どうしてあなたがここに!…まさかっ?!」
「おっと、誰の命で動いてるか、は言えないぜぇ」
この一言で、幸村の雰囲気が一片した。
連技ゲージが最大に、無双ゲージも最大のまま、何度無双奥義を連発しても、
一向に減ることがない。
「ゆ…幸村…さま…?」
呆気に取られる甲斐姫と、溜息をつくくのいち。
「あちゃ~…こりゃ、あの人絡んじゃったなぁ~…にゃはぁ…」
「あの人?」
「そ、幸村様の、想い人。」
「幸村様の想い人がいるの?! ここにっ?!」
「たぶんねー。」
「たぶんって…」
背中合わせに戦いながら、くのいちはのんびりと溜息混じりに話続けた。
「だって、さっきから影技も、無双奥義も連発しまくってもゲージ減ってないでしょ?
アレ、別名"政宗レーダー"」
「まさむねれぇだぁ?」
孤軍奮闘だったはずの甲斐姫だが、
気づけば幸村の尋常ならざる活躍(?)のおかげで敵は減りつつある。
撃破数も幸村一人で500人を超えている。
そして、最後の敵将、片倉小十郎と対峙していた。
「うぉぉぉおおぉぉぉ!!
わぁれこそは真田幸村!!死にたくなくば、道を開けよ!!」
「だからこそ、ここを退くわけにはいかん!!
わざわざオオカミの前に子羊を曝け出す馬鹿がどこにいる!」
「やはりいらっしゃるのだな!この本陣の中に!」
「知らぬ!!お主こそさっさと上田に帰れ!」
「貫くっ!!!」
あっという間に倒れる片倉小十郎。
その光景を目の前に、甲斐姫は少々同情してしまった。
(幸村様の想い人…っていうか、この幸村様の病的なまでの執着振りって…)
「分からなくも、無いんだけどねぇ…」
まるで甲斐姫の胸中を読んだかのように、くのいちが続けた。
そして、本陣の扉が開く。
「ま…政宗殿~~~~~~~~!!!!」
「ゆ…幸村!」
どおりで外が五月蝿いわけじゃ!と叫んだところで、
突進する幸村をかわして、政宗は本陣から出てきた。
「どうしてお逃げになるのです、政宗殿!
この幸村、貴方にお会いできる日を一日千秋の思いで待っていたというのにっ!」
「お前の思いなど知るかっ!わしは己の身がかわいいんじゃ!」
逃げる政宗と、追いかける幸村。
その様子を呆然と見守る甲斐姫。
甲斐姫のもとまであと少し、その距離で、敢無く政宗は幸村の太い腕に掴まってしまった。
「捕まえましたよ、政宗殿!」
「や…やめよ幸村っ…うぐっ…くるし…」
逃げないように、ぎゅうぎゅうと締め付けられ、政宗の顔色が見る見る青ざめていく。
こうして、葛西大崎一揆はあっけなく幕を閉じた。
「あ…あたしの頑張りって…」
「ま、幸村様の政宗さんへの愛って、執着に近いから…」
がっくりと肩を落とす甲斐姫の肩を、くのいちは同情も含めて軽くぽんぽんと叩いた。
女の友情が芽生えた瞬間だった。
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