そうして、SE19巻妄想第一弾のフィナーレ
キッド視点。
強制排出後、『焦燥』後です。
だから、19巻には描かれていない部分の妄想になります。
ガ○ガ○は未チェックなので、全く異なるかと思われますが。
あー…でも、使っていたイヤホンのふかふかが、
どこかへ行ってしまったので、
4月号・5月号の全プレ死神イヤホンが欲しかったりします。
ああぁ…欲しいよぅ。
でも、お小遣いは必要な分(病院+予備)以外、全部義援金募金箱の中だぉ(´;ω;`)
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懐古
「…選べよ、キッド」
ソウルの言葉が、冷たく響く。
今のキッドに、何が選べるというのだろう。
何一つ、欠けてはならないと言うのに。
答えあぐねていると、ソウルがややイラついたように溜息を吐いた。
ノアを倒してから、ソウルの様子がおかしい。
本当なら、こんなギスギスした空気でなく、もっとやわらかい時間を過ごしたかったのに。
夜中にソウルに呼び出されて公園に来て見れば、
ソウルはキッドに「選べ」と迫った。
ブラック☆スターか、ソウルか。
武器姉妹か、ソウルか…。
どちらも選ぶことなど出来ないし、選ぶ権利もない。
何一つ欠けることなく前へ進みたいのに、ソウルはそれを許してはくれないのか。
キッドの中に、「何故?」という疑問がわき上がるが、
今は頭に血が上っているようなソウルに、問い詰めたところで無駄だろう。
「…選ぶ…その基準はなんだ?」
キッドは、まず選ぶ指標を求めた。
「お前の隣に立つのが、俺かブラック☆スターか。
お前の使う武器は、リズとパティなのか、俺<デスサイズ>なのか。」
濁りのないその返答に、キッドは軽く瞑目した。
ソウルは今完全に自分を見失ってしまっている。
だからこんな無茶な質問をするのだ、と思った。
「俺の隣には、ブラック☆スターだけじゃなく、仲間達が立っている。」
だから、誰も選ぶことはしない。
眼で訴え掛けるが、ソウルは腑に落ちないように、キッドを睨むだけだ。
今でも、ソウルとは恋仲だと思っていたのだが、
ソウルはもうそのようには思っていないのだろうか。
二人で過ごした、くすぐったいような、安らぐような、そんな時間を思い返して、
キッドは胸が苦しくなる。
「じゃあ、武器として、俺を選ぶのか?」
「…それは…っ…!」
「リズとパティを使うんだろ?今までどおり。」
「…っ…」
いつもなら、「そうだ」と明言できるのに、
今はそういう雰囲気ではないようだ。
ここで、ソウルの言葉を肯定してしまったら、ソウルは居なくなってしまうのではないか、
そんな気すらした。
「…ソウル、隣に立つとか…武器でいるとか…
俺たちにそんな事は必要ないだろう?
俺たちは、付き合ってるんじゃないのか?
お前の問いは、俺には意味が無い事のように感じる。」
キッドの悲痛な訴えも、ソウルには届かない。
「俺には、意味がある…。」
俯いたものの、それでも確りとソウルはキッドに告げた。
だから、ソウルは眉根を寄せたキッドの表情を見ることは無かったろう。
キッドも、もう懐古は許されない。前へ進むしかないのだ。
世界が狂気に染まる前に。
新しい世界を創らなければ、この世界を、曲がったものたちに支配されてしまうから。
ひとつ、深く呼吸をして、キッドは間を取った。
そして、どうか、ソウルの心に届くようにと願う。
「ソウル、俺は、誰が隣に立つかなど選べない。
仲間と共に立っていたいからだ。
武器も、リズとパティ以外、パートナーにするつもりはない。
お前がデスサイズになったことは聞いた。
だが、しばらくはマカと共に、勇気の旋律を奏でて欲しい。
それが、俺が望むものだ。」
ゆっくりと、真摯に告げる。
以前のソウルなら、理解してくれているはずの言葉。
だが、今のソウルはどうなのだろうか。
どこか以前とは異なる雰囲気を醸し出すソウルは、
キッドの知るソウルではなく、別人のようで、怖い。
「……そうかよ……じゃあ…俺は、何のためにお前の側にいる?
何のためにデスサイズになった!!!」
最後は悲鳴に近い声で叫ばれて、キッドの身がビクリと竦む。
(…ソウル…お前までもが狂気に染められて、堕ちて行くのか…)
キッドは、ソウルを見つめ、どうすることも出来ずに立ち尽くした。
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