今回はヤンデレソウキド。
ソウキドで、血グロ表現ありです。どっちも病み過ぎ。
マカも、トンプソン姉妹も、椿も、ブラスタもお亡くなりになってしまいます。
苦手な方はお避けください。
「つづき」よりどうぞ。
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狂気に染まる
『キスしたい。』
そう言われた。だから俺は、キスをした。
銀糸のような髪も、血に濡れたような瞳も、野獣のような犬歯も、
鮮烈な光を放つような魂も、全てが好きだったから。
『SEXしたい。』
キスにも慣れた頃、そう言われた。だから俺は、身を任せた。
キスした頃よりも、もっとずっと惹かれていたから。
痛い上に、結合部は切れて血は滲み、初めての情交は酷いものだったが、
以降も望まれれば望まれただけ、身を任せた。
『お前の全てが欲しい。』
体を重ねるようになって暫くして、そう言われた。
俺は、その意味している事も分からず、頷き、与えた。
その時全てが決まった。
「死神の生命力ってすげーな。」
まだ、死なない。と、感心したようにソウルが呟く。
累々と横たわる、かつて仲間だった者達の骸。
俺が好きだった松葉色の瞳も、色合いの違う金の髪を持つ美しい武器達も、
漆黒の鎖鎌も、目立つ暗殺者も、血に濡れて倒れ、事切れている。
その中央に、俺は立つ。
否、両腕を一括りに、武器化したソウルの右腕で貫かれ、立たされている。
流れ落ちる血はすでに乾き、白いシャツに赤黒く染みを作っていた。
髪を抜かれ、片目を抉られ、皮膚を裂かれ、そこから皮を剥がれる。
それでも尚、死なない体。
恍惚とした表情で、ソウルが俺を見つめる。
つい先ほどまで俺の中に収まっていた眼球を、ソウルが美味そうに舐める。
「お前には、アカが良く似合うな。」
「…ソウル…」
左手で弄んでいた眼球を握り潰し、左を武器化して俺の喉元にピタリとつけた。
「お前が、悪いんだぜ?
全部欲しいって言ったのに、お前が他の奴を呼ぶから。」
「…すまない…」
「謝ってももう遅い。それに、もうお前が誰かの名前を呼ぶことも、ない。」
だろ?とソウルは顎をしゃくって周囲の惨状を知らしめる。
デスサイズになったソウルは黒血の力も借りて、死神ですら御しきれない武器になった。
まるで阿修羅の再臨。
めぐる狂気。
ソウルは俺に執着し、俺もそれを止めなかった。
現状は、ソウルだけじゃない。俺もが望んだカタチ。
血の海も、死ぬことのない体に刃を突き立てられる事も。
血が足りず、クラりと眩暈に襲われることすら、俺の願望。
「俺の狂気は、お前の望み。
望みが叶った気分はどうだ、キッド?」
「…世界にお前と二人きり、これ以上望むものもない。」
塞がりつつある傷、再生しつつある皮膚や瞳。
手から、ずるりとソウルの鎌が抜かれる。
立っていられずに、体が傾ぐと、すかさずソウルに支えられる。
「シよーぜ、キッド。」
耳元で囁かれる甘い甘い声。
俺が、他の名前を呼ばないように、お前も、俺以外の名前を呼ばない。
理想の世界。
狂気の世界。
俺は染め上げたのだ。
この世界を、狂気に。
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