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何気なく始めた嫁シリーズ。
書きたいところまであと少し。頑張りマス。

不器用幸村と政宗。
相変らず報われない幸村。

大丈夫な方は、『つづき』よりどうぞ。



*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

その嫁、夜這いを決行。


今日も日が暮れる。
政宗は自室から見える夕日を見ながら、黄昏た。

幸村が(嫁に)来てから、すでに三日が経つ。
料理を作るといって作れば、食べられるものは出てこない。
その上御厨は半壊状態。
繕い物をする、と言って、勝手に政宗の着物(どこももつれていないし、繕う必要などないのに)などを
繕い始め、雑巾のようにしてしまった。
茶を淹れれば熱すぎるし、風呂を焚かせれば、ぬるい。

「はぁ…」

頬杖をついて、政宗は夕日に向かって溜息を吐く。

幸村に悪気が無い事は分かっている。
その上、槍を持ったことしかない男だ。
突然「嫁になります」と言って料理・家事が出来るわけが無い。
女中ではなく、真田幸村は武人なのだ。

だから、政宗も怒りの矛先が見当たらない。
何故嫁に来たのか、と聞いても幸村の言い分はさっぱり良く分からないし、
幸村の父に文を送っても、「息子をよろしく頼みます」しか返って来ない。

一体真田の一族はどうなっているのか、政宗が不思議に思っても仕方の無い事だ。

「悪い奴ではないのじゃが…懐かれる覚えもない。」

これが幸村でなく、孫市や慶次であったなら、政宗も多少の納得がいく。
孫市は金で雇っていた事もあるし、慶次とは一時背中を預けた仲だ。

政宗は考えながら手近な煙草盆を引き寄せ、煙管に煙草を詰めた。
ゆっくりと煙を吸って、ふっと息を吐けば、ふわりと煙が立ち上る。
その煙を追いかけながら、政宗はさらに考えを巡らせた。

この三日あまり、幸村の事は客としてもてなしているが、
幸村本人は『嫁いできた』という考えでいるらしく、帰る気配はない。
このままでは城が壊れるかも知れないし、政宗は幸村の扱いに苦慮していた。

「・・・もしやこれは武田の新しい陰謀か?内側から崩す心算か…」

信玄め、と呟くと、ひょっこり返事が返ってきた。

「お館形様がどうかされましたか、政宗殿?」
「…なんじゃ、幸村。」
「さつまいもを蒸かしていただきました。良かったら、一緒に頂きませんか?」

いつものように柔和な顔で、幸村は政宗の隣に腰掛ける。
邪険にも出来ず、政宗は無言で幸村の行動を見守った。
熱そうなさつまいもを二つに割り、どうぞと手渡す幸村に、政宗は再び溜息を吐く。

「…悪い奴ではないのじゃが…」
「はい?」
「何でもない。」

芋を受け取り、小さくかじりつく。
今後の幸村の取り扱いは、内政以上に気を遣うことだ。
幸村が来てからの三日ほどで、政宗の食はひどく細くなっていた。
いくら豪気に振舞ったところで実際はまだ、歳若い若輩に過ぎない。

「まだ、食欲がありませんか?」
「…は?」
「いえ、ここのところ、あまり食事を召し上がっていないようなので。」
「………」
「すみません。もしや、私が至らぬせいで、政宗殿に心労をお掛けしているのでは?」

もそもそと咀嚼しながら、非常に気まずい雰囲気になる。

「……やはり、夫婦の会話が少ないのが原因でしょうか。」
「…………」
「今は客室を頂いておりますが、夫婦は一心同体!今夜から政宗殿のお部屋で一緒に・・・」
「…阿呆か貴様っ!」

幸村は悪気がない、とか、武人なのだから、と気を遣っていた政宗だったが、
遂に叫んでしまっていた。

「ですが政宗殿!ここに嫁いできてからもう三日経ちますが、
まだ一度も閨を供にしたことがな…」
「それ以上口を開いてみよ、引き金を引く!」

どこから取り出したのか、愛用の銃の銃先を幸村の口に突っ込んで、
顔を真っ赤にしながら激鉄を引く政宗。

厭な予感はしていた。
『嫁いできた』と言われた時から、薄々は。
けれど、この話題には触れないようにしてきたのに―――。

政宗は決して男に興味があるわけではない。
その上、自分よりも体躯の大きい体を抱きたいとも思わない。
だからわざわざ客間を(しかも、政宗の自室から一番遠い)用意したのに。

けれど、幸村はどうやらこの件にで政宗が心を痛めている(?)と思っているらしい。
何をどうすればそのような解釈になるのかは不明だが、政宗としては良い迷惑だ。

いきり立つ政宗を宥め、口から銃先を抜くと、幸村は言いにくそうに続けた。

「政宗殿…ですが、これでは嫁いできた私の立場が…」
「そうじゃな!"使者"としてやってきた幸村の面子は立てよう!」

あくまで武田または、真田からの使者、という扱いで通したい政宗だが、
そこは幸村が退かない。

「いえ、わたしは嫁としてとつ…」
「わーーーーーーっ!!!」

先ほど、幸村に銃を持つ腕を取られてしまっているため、政宗は芋を置いて、
空いている方の手で幸村の口を塞ぐ。

これ以上聞いては駄目だ。

本能が告げるまま、政宗は何とか言葉を続けてその場を凌ぐ。

「ゆ…幸村っ!その…まぁ…あの…あ、そうじゃ!
やはり、こういうのはわしの方からじゃな、出向いて…」
「…もがっ…もごもご…」

幸村が何かを言おうとするのを必死で押さえ込み、政宗はまくし立てた。

「わしにもいろいろと準備がな!そそそ…そうじゃ…近いうち…
まぁそのうち、気が向いたら、お前の部屋に行くから、それまでは大人しくしておれ!」
「もご…む…むぅ。」
「そうか、分かってくれたか。それではわしはもう行く。」

首を縦に振る幸村に、政宗はようやく安堵し、手を離すと、足早にその場を立ち去った。

その夜、一人与えられた部屋で床についた幸村は、
一人思案した。

(夕方、政宗殿はああ仰っておられたが…
嗚呼見えて、恥ずかしがりな方なのだな。そんなところもお可愛らしい。)
(もしや、恥ずかしがっておられるから、この部屋にいらっしゃらないのだろうか。)
(もしそうだとしたら、嫁として、政宗殿をお助けせねば…)

上等な布団の中でごろごろ転がりながら、
幸村はうんうん唸った。そして、再びひらめいたのだ。

「今の時代、ただ待っているだけの嫁では駄目なのだ!
義姉上殿のように、常に夫を助けねば…!そうだ、わたしから政宗殿の元へ行けば良い!」

決めた、といわんばかりに幸村は飛び起き、
そのまま部屋を出た。
目指すは、どうしようもなく好きでたまらない、政宗の元だ。

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